「中国は恐ろしい。しかし、日本はもっと悪い」…米鉄鋼CEOの“暴言”はアメリカの本音か

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日本はもっと悪い

 日本製鉄がUSスチールの買収を計画しているが、アメリカ鉄鋼大手のクリーブランド・クリフスが異議を申し立てた。同社もUSスチールの買収を目論んでいたが、その額は日本製鉄による金額よりも安い。そんな中、クリフスのゴンカルベスCEOの会見があまりにも差別的だと話題になった。まぁ、1987年から1992年までアメリカで中高生時代を過ごした筆者の感想は、「保守的なアメリカ人はそんなもんだろう」である。

 結局、心の奥底では日本、そしてアジアに対する差別意識が根強いのだ。それは過去に多くのアメリカ人と接してきたからよく分かる。アジア人を表現する時、何かと目を吊り上げるゼスチャーをしたりするのはその典型である。特に、アメリカ本土を攻撃した国として、そして1980年代に経済戦争でアメリカに勝利した国として、日本への恨みと差別はきわめて根強い。

 安易に「オオタニさんを全米が絶賛」「『SHOGUN将軍』がゴールデングローブ賞を受賞、全米が称賛」「河村勇輝がアメリカのファンの心を鷲掴み」といった呑気な報道を信じてはいけないのである。TBSの報道では、USスチールの買収を目指していたクリフスのゴンカルベスCEOが以下のように発言したことが紹介された。

「中国は悪だ。中国は恐ろしい。しかし、日本はもっと悪い。日本は中国にダンピング(不当廉売)や過剰生産の方法を教えた」

ショッピングモールで高校生に……

 さらに、第二次世界大戦を念頭にこうも述べた

「日本よ、気をつけろ。あなたたちは自分が何者か理解していない。1945年から何も学んでいない。私たちがいかに良心的で寛容かを学んでいない。我々の血を吸うのはやめろ、我々はアメリカ人だ。我々はアメリカ人を愛し、アメリカを愛している」

 ゴンカルベスCEOの「1945年から何も学んでいない」発言は、「アメリカ様には敵わないのはあの時に分かっただろう。それなのにお前らはなぜアメリカ様に楯突くのだ!」という意図を感じられる。ブラジル系の同氏だが、アメリカの保守派の支持を集め、あわよくば、自社によるUSスチールの買収条件よりも高い金額を出した日本製鉄が買収から撤退することを目論んでいるのかもしれない。

 実際、この手の発言をするアメリカの保守系のオッサンにはこれまで何度も会ってきた。私は日本がイケイケだった時期にアメリカの中西部・イリノイ州で中高生時代を過ごしたのだが、ショッピングモールを歩いていたら、突然、でっぷりと太った白人のオッサンから「Remember Pearl Harbor」と言われたことがある。「So what, remember Hiroshima and Nagasaki」と言い返したが、「お前らが先にアメリカ様に戦争を吹っ掛けたのだから当然の報いだ」と言われた。これをショッピングモールで高校生に言うか?

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