尹大統領逮捕でも“支持率逆転負け”…韓国国民は「李在明」野党の何に怒っているのか

国際 韓国・北朝鮮

  • ブックマーク

 昨年末より韓国で激化している、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領をめぐる騒動。韓国初の現職大統領の逮捕ともなったが、一転、国民からの支持は与党に集まるという事態に……。ジャーナリストのノ・ミンハ氏が現地を取材した。

 ***

 1月15日、尹大統領は、高位公職者犯罪捜査処(以下、公捜処)に拘束された。黙秘権を行使する尹錫悦大統領に、公捜処は裁判所に令状を請求した。19日、ソウル西部地裁の審査を経て、逮捕に踏みきった。この逮捕を受け、尹大統領の支持者の一部が庁舎に乱入。窓ガラスを割るなどし、警察は 66人の逮捕状を申請した。

 3日に行われた1回目の身柄拘束で失敗した公捜処は、15日は早朝から約1,100人の警察を動員する大規模な作戦に出ていた。大統公邸前では支持者たちが進入を阻止しようとしたが、その中の1人が負傷したとの報道も流れた。尹大統領は「これ以上の流血事態を望まない」と述べ、午前10時33分に拘束に応じ、京畿道果川(キョンギド クァチョン)市にある公捜処の調査室へと連行された。

 その後も尹大統領は「公捜処には内乱容疑に対する捜査権限がない」立場を改めず、一切の供述を拒否して黙秘権を行使。公捜処は200ページに及ぶ詳細な調査質問を用意したが、尹大統領からは回答を得ることはできなかった。ソウル西部地裁での審議には尹大統領も出席し、意見を述べた。しかし地裁は逮捕状を出した……というのが一連の経緯である。

与党支持率35%、野党は33%の「逆転」

 尹大統領の逮捕をめぐって揺れる韓国だが、ここにきて、尹大統領への評価に変化がみえはじめている。

 韓国ではいくつかの機関が世論調査を行っているが、エムブレインパブリック、Kstatリサーチ、コリアリサーチ、韓国リサーチは共同で1月13日から15日にかけて全国の有権者1,005人を対象に調査を実施した。それによると、与党「国民の力」の支持率は35%を記録し、野党「共に民主党」の33%を上回った。与党と野党の支持率が逆転したのは昨年9月以来、初めてのことだった。

 政治評論家たちは、この結果を以下のように分析している。

「尹大統領の捜査や逮捕を不当と考える支持者たちが結集したことや、尹大統領による非常戒厳を『共に民主党』が利用し、政権奪取を急ぐことへの反発が今回の支持率逆転に影響を与えたのではないか」

次ページ:野党こそ「本当の内乱」…逮捕劇の周辺を取材すると

前へ 1 2 3 4 次へ

[1/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。