CM激減で「フジはギャラを値切るようになる」 芸能事務所が一斉に逃げ出す地獄絵図

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他局の怒りは筋違い

 港社長が1月17日に行った会見には放送記者クラブの人間しか入れず、不満の声が上がり、他局の人間まで抗議の声を上げた。しかし、これは筋違いだ。他局の社長らによる会見も放送記者クラブの人間以外はシャットアウトしているからである。

 雑誌記者、夕刊紙記者、フリー記者らはどの局の会見にも入れない。他局の記者はフジに抗議する前に自局の姿勢をあらためるよう努めるべきではないか。

 フジ社内からは港社長に2度目の会見を求める声が上がっている。「希望者全員が参加できるオープンな会見をしてほしい」(フジ関係者)。スポンサーが大量にCMを引き揚げたのは会見にも理由があるのだから、当然の声だろう。

 同時にフジは今回の問題について誰が責任を取るのか考えなくてはならない。港氏はバラエティ畑出身で、「オールナイトフジ」(1983年)や「とんねるずのみなさんのおかげです」(1988年)などを成功させた人。

 有力子会社「共同テレビ」の社長を経て、2022年にフジの社長に就いたが、今回の問題の経緯や会見などを見ると、コンプライアンス意識が強かったとは言いがたい。

 そもそも年齢の問題もある。民放の他局の社長は59~67歳で、70代は港氏だけである。フジの持ち株会社であるフジ・メディア・ホールディングスの株を約7%持つ米国の投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が昨年6月、「フジの取締役会のメンバーの平均年齢は日本のどの企業よりも高い部類に入る」と表明したのもうなずける。

 港氏を社長に指名したのは取締役相談役の日枝久氏(87)とされている。編成局長として1980年代のフジ黄金時代を築き、1988年から2001年まで社長を務めた。今も最高権力者と目される。

 フジ関係者たちは声を潜めながら「日枝氏のおぼえがめでたくないと、出世できない。この構図がまずい」と語る。一方で「日枝氏に辞める気はサラサラない」(別のフジ関係者)との声も。

 誰が責任を取るのか。そもそもフジという組織は誰の意志で動いているのか。これが明確にならないと、今回の問題は解決に至らないのではないか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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