GACKTを転落させた「カンガルー肉」の謎 どこで買える?本当に「高級牛肉」と間違える味なのか
専門家は“味付けに騙されたのでは”
オーストラリアからカンガルー肉を輸入し「ルーミート」ブランドで販売するバセル社(東京・大田区)の長友隼人エリック氏に話を聞いた。
まず、DAIGOと鬼龍院がカンガルー肉と霜降り肉を間違えたことについては、
「カンガルーは低脂肪の赤身肉なので、霜降りのように口の中で溶けるっていうことはありえないんですよ」
と首を傾げるエリック氏。ではなぜ間違えたのか。
「薄く切って霜降りに近づけるような味つけをしたか、または旨味を強調するような味付けをしたのかもしれないですね。カンガルー肉は旨味が強いんです。もしかしたら、その旨味の強さが霜降り牛と間違えた理由かもしれません」
カンガルーはあっさりした肉質ながら濃い旨味があり「ステーキに使う部位なら、塩と胡椒だけで十分にうまいです」という。旨味を判断基準にして比較した結果、あのチョイスになったのでは?というわけだ。
日本人にとってカンガルー肉はあまり馴染みがない食品だが、ジビエの一種として肉好きに愛好されており、2010年代後半から徐々に輸入量を増やしている。
特徴は、高タンパク、低脂質、低カロリー、低コレステロール。牛肉、豚肉、鶏肉といった日本でメジャーな肉と比べると、タンパク質は23.6%と最も多く(以下、牛サーロイン、豚ばら、鶏ももの順に18.4%、14.5%、17.3%)、脂質は0.9%(23.3%、33%、14.6%)と圧倒的に少ない(カンガルー肉の成分分析は日本食品分析センターによる試験結果)。
カンガルー肉はさらに、血圧を下げ、LDLコレステロールの低下に役立つといわれる多価不飽和脂肪酸を多く含んでいる。また体脂肪燃焼効果と筋肉増強効果が期待できる共役リノール酸が牛肉の6倍あるなど豊富で、こうした特長からアスリートにも好んで食べられているという。ボディメイクコンテストで優勝した歌手の西川貴教も、カンガルー肉を愛食していることを明かしている。また、オーストラリアでは糖尿病や高血圧などの成人病患者にも適した食材とされている。
DAIGOがだまされたように味が良く、また高タンパク低脂質、さらに健康に良い成分を他の肉より多く含むなど、優れた要素が多いカンガルー肉。日本国内での流通量はまだまだ少ないものの、通販で購入できるほか、東京都内の実店舗では一部の業務スーパーや東麻布の「日進ワールドデリカテッセン」などで販売されている。価格の一例をあげると、ミドルフィレ(フィレ肉):390円/100g、ストリップロイン(サーロイン):520円/100gほど(店によって価格は異なります)。また3月に開幕する「2025大阪・関西万博」でもカンガルー肉が食べられるブースが登場する予定だという。
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