トランプ就任でどうなる韓国…「米中どちらの味方か」の岐路に 米有力議員は韓国左派を“内通者”と非難
保守もトランプは苦手
――でも、「(3)対中」が残ります。トランプ政権はバイデン政権以上に中国に厳しいと見られています。
鈴置:確かにそうです。左派が政権をとれば米国と対中政策で衝突する可能性が極めて高い。しかし、保守なら対中政策においてトランプの米国とうまく行く――わけではないのです。なぜなら保守といっても、韓国は中国に微温的。トランプ政権が望む強度の対中強硬姿勢をとる根性はないからです。
韓国では対中強硬派と見なされた尹錫悦政権も、外から見れば軟弱外交そのものでした。バイデン政権もそんな韓国を見切って「2線級の同盟国」として扱いました。
――バイデン政権は米日韓の軍事協力強化を外交成果と誇ってきました。
鈴置:「日韓の関係を取り持った」と手柄を誇りたいがため「米日韓」の関係強化を誇張して語ってきたに過ぎません。米国は日本のようにお人好しではありません。韓国を本心から海洋勢力側の国とは見なしていないのです。保守政権だろうと、口で親米を唱えようと。
何よりの証拠が、韓国がQuad(日米豪印戦略対話)やAUKUS(米英豪の安全保障への枠組)に加盟したいと表明した時、突き放したことです。
Quad加入はお断り
――そんな事実は知りませんでした。
鈴置:韓国できちんと報じられず、その結果、日本でもほとんど伝えられなかったからでしょう。QuadもAUKUSも中国を念頭に置いた軍事協力の枠組みで、後者には日本も準メンバーとして参加することが2024年4月に決まりました。
ふたつの枠組みに対して曖昧な姿勢をとり続けてきた尹錫悦政権ですが、日本のAUKUS参加を知って焦ったと思われます。同年5月、韓国は豪州との外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)の場で初めてQuadとAUKUSへの参加を希望しました。
これに対し豪政府は明確な返事をしませんでした。米政府もVOA(ボイス・オブ・アメリカ)を通じ「インド太平洋の安全保障に関し、韓国とは多様な方式で協力している」と答えるにとどめました。「これ以上韓国を軍事協力の枠組みに入れる気はないよ」と言ったも同然でした。
多国間の枠組みに韓国を入れたら「最も弱い輪」となるのは確実です。中国にもいい顔をしたい韓国は「トロイの木馬」になりかねません。
中国包囲網たるQuadとAUKUSの内側から、それを突き崩しにかかる可能性が極めて高い。それを防ぐには初めから「韓国はお断り」するのが最も合理的なのです。
「韓国を謝絶した米国」に関しては 『韓国消滅』第3章第3節「中国の台頭に思考停止」をご覧ください。
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