常識に縛られる妻は「つまらない女」 不倫がバレて“しぶしぶ再構築中”の45歳夫が語ったホンネ

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美奈子さんとの関係は続けつつ…

 数週間後、美奈子さんから鍵と地図が送られてきた。メモには「逢い引き場所を確保した」とあった。なんと彼女、部屋を借りてしまったのだ。

「手際がいいというか、自分の欲望に忠実というか。でもそういう美奈子が魅力的だと思いました。それ以降、その部屋でときどき美奈子と会っています。刹那的だけど本気の恋だとふたりとも思っている。恋を長続きさせたいわけじゃないんです。燃え尽きたいんです」

 宏一さんの言葉に力が入る。一方で、彼は愛美さんとの「家庭」を再構築すべくがんばっているところだとも言った。それはひとえに息子のためだ。この春、息子は中学に入学する。息子が成人するまでは、一応、両親が揃った家庭にしておきたい。

「家庭の形なんてどうであってもいいと思うんですが、今の段階で離婚したら、息子に会う障壁が高すぎる。だから現状維持を選びました」

 不倫相手との関係を続けながら、妻との再構築を実行するのは至難の業だと宏一さんは言う。それは当然だろう。彼から妻への愛が感じられないからだ。それなりに情はありますよ、息子の母としてリスペクトもしている。彼はそう言うが、それは情であって愛ではなさそうだ。

「再構築」は遅々として進んでいない。彼は妻に笑顔を向ける努力をしているが、妻から笑顔が返ってくることは少ない。再構築をするために会話を増やそうと話したのだが、息子がいないと妻と話すことがないと焦燥感だけが募る。

「妻とは、本当に関係が崩壊するのを見届けるために日々、生活しているような気がします。息子は、両親の関係がそこまで壊れているとは思ってないでしょう。こういううわべだけの形を維持することが、息子にとってもいいことなのかどうか。最近は、そんなふうに考えるようになっています」

 美奈子さんは、どちらかというと宏一さんの母親タイプだ。自分のしたいことはする、我慢はしないと断言している。子どもがいないことがコンプレックスになっているようにも見えない。「できなかったものはしょうがないわよね」という感じだ。

「あっけらかんと事実を受け止めて前に進んでいく。そんな美奈子が好きなんですが、美奈子は『私は夫のことも好き』と平然と言っています。夫とは友だちのような信頼関係がある。でもあなたといると、私は女でいられるのって。うまいことを言いますよね」

 この恋がどういう終焉を迎えるのか、宏一さんには想像ができない。ただ、男と女としてお互いをむさぼるように欲している。愛でなくていい、ただの情欲でもいい。それでも美奈子との縁は切りたくない。でも息子とは離れたくない。思い切り本音をぶちまけてくれた宏一さんは、少しすっきりしたと笑顔を見せた。

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「常識」を求めていた宏一さんだったが、結局、血は争えないということなのか……。彼が育った破天荒な家庭環境については、記事前編で詳しく紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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