「おかあさんは恋に落ちたんだよ」怒りも嘆きもしない父… 自由すぎる親に反発した45歳夫が結婚相手に求めたもの
【前後編の前編/後編を読む】常識に縛られる妻は「つまらない女」 不倫がバレて“しぶしぶ再構築中”の45歳夫が語ったホンネ
自分の不倫が露見した多くの場合、今後どうするかについて決定権をもつのはパートナー側だ。不倫した側に離婚する意志がなければ、「ひたすら許しを乞う」しかない。
【後編を読む】常識に縛られる妻は「つまらない女」 不倫がバレて“しぶしぶ再構築中”の45歳夫が語ったホンネ
「でも結婚継続を決めたとしても、それは妻に未練があるわけではなく、子どものことを考えるとそれ以外の選択肢がなかったということもあり得ますよね」
“サレ妻”が聞いたら怒髪天を衝くような発言をするのは、加地宏一さん(45歳・仮名=以下同)だ。
「いや、わかってるんですよ。僕が悪いのは。でもしてしまったことはしかたがないじゃないですか。うちの妻はまじめすぎるんですよ。結婚していたって他の人に目がいく、心が移ることはお互いにあり得るわけで、その可能性を認めようとしない。僕がまるで重犯罪でもおかしたように責めてくるから、再構築しようとは思ったけど、かなり疲れてしまったんです」
両親は「ヘンな人たち」
宏一さんは、3歳違いの姉と5歳違いの妹にはさまれた長男で、なかなか破天荒な両親に育てられている。彼が生まれたのは両親の移住先である北海道の地だ。
「ヘンな人たちなんですよ。移住が趣味みたいなところがありましたね。父は教育関係、母は芸術関係の仕事をしていたようなんですが、どうも一カ所に落ち着いて生活をするのが苦手だったみたい。3歳の姉を連れて北海道へ移住したとき、母は妊娠8ヶ月だったそうです。それぞれ職を得たものの、僕が小学校に入る前に、今度は九州へ移動。今みたいにどこででも仕事ができる時代じゃなかったから、わざわざ苦労するために動いているような感じですよね」
妹が小学校に入るときにはまた西日本の中で移動している。彼は小学校だけで3回も転校したと話してくれた。だが、転校が多かったせいで、どこに行っても誰とでもすぐに友だちになれる特殊な才能は育まれたと笑った。
両親は非常に仲がよく、決して裕福な生活ではなかったが子どもたちをかわいがってはくれた。家の中で親の怒声を聞いたことは一度もない。
「僕が高校生のころ、父は経営していた塾を人に任せて母とふたりで留学すると言いだした。たまたま親戚の家があいているから、きみたちはそこに住んで遊びに来ればいいよって。姉は大学生だったけど、『わかった』って。姉も妹も両親に似てるんですよ。妹なんて当時、中学に入る直前だったのに、平気な顔をしていた。ふたりともノーテンキで自由で、自立精神に満ちていた。でも僕だけは、家族の自由さについていけないところがあった。両親は留学する直前、僕に『もうちょっと視野を広げなさい』と言い置いていきました。視野を広げるっていいことのようだけど、両親を見ていたら、単なる根無し草だよなとしか思えなかった」
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