“右翼雑誌”と呼ばれても「WiLL」「Hanada」が絶大な支持を集めた理由…元編集部員が明かす「他の月刊誌ではありえない」名物編集長の仕事術
ブラックでもハラスメントはゼロ
花田氏が編集長を務める雑誌の編集部は、「WiLL」でも「Hanada」でも、その強烈な職場環境から「出版界の蟹工船」と呼ばれ、「ワーク・ライフ・バランス」の欠けた「ワーク・ワーク・ワーク」は今も続いているという。
まさに究極の“ブラック編集部”だが、その一方で、どんなハラスメントも存在しなかったと梶原氏は断言する。
編集長の花田氏は部員の意見には常に耳を傾け、パワハラやセクハラとは無縁。何よりも雑誌編集の仕事は充実していて面白かった。
《毎月、文化祭の前夜のような状況で、ああでもないこうでもないと言いながら作業をする。自分が読みたい記事を執筆者に依頼し、誰よりも先に寄せられた記事を読むことができ、会いたい人に取材と称して話を聞くことができる》
誰よりも花田氏が先頭に立って働く。「面白い雑誌を読者に読んでもらう」という信念の塊だという。
《編集者はそれぞれ毎月、ギリギリいっぱいの作業を行うが、編集長も同じかそれ以上に働いているので文句も言えない。そしてそれぞれの編集者から上がってくる連載を含む原稿を、編集長は鵜飼のように編集者(鵜)に吐き出させながら、自身は連載を含む原稿のすべてに目を通し、赤字を入れて、時にはリライトの指示や原稿の圧縮作業などを行っているのである。できるだけインタビューの現場にも足を運び、さらに自身の別媒体の連載やネット番組の出演を複数こなしている。82歳になってもそれは変わらない》
病気で倒れてしまった梶原氏
だが、これほどやりがいを感じていたにもかかわらず、次第に梶原氏は仕事について深く悩むようになり、最終的には病気で倒れてしまう。なぜ梶原氏は「WiLL」や「Hanada」の誌面に違和感を覚え、右派にも左派にも疑問を感じるようになったのか。
第2回【実は“女性読者”が支えていた「WiLL」「Hanada」の知られざる実態…安倍元総理の死去、ネット“陰謀論”時代の到来で“右翼雑誌”に活路はあるか】では、梶原氏が花田氏の元を去った理由についてお伝えする──。
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