「家族のために頑張ります」と語った2カ月後…知人が証言「兵庫・竹内県議」はいかに誹謗中傷に苦悩していたか
県警本部長が完全否定
「竹内さんが『兵庫県警の継続的な任意の取り調べを受けていた』『明日、逮捕される予定だった』などと発言し、それもまたSNSで拡散されました。死者への冒涜としか言いようがありません」(関係者)
1月20日に開かれた兵庫県議会の警察常任委員会では、竹内氏に対する言葉の暴力に関して質問があった。通常、こうした質問には担当幹部が答えるが、県警トップである村井紀之本部長が答える異例の対応となった。
村井本部長:こういう場で個別案件の捜査について言及することは通常、差し控えているが、事案の特殊性に鑑み私のほうから答弁する。竹内氏については、容疑者として任意で調べをしたこともないし、ましてや逮捕するといったような話はまったくない。まったくの事実無根であり、明白な虚偽がSNSで拡散されていることについては、極めて遺憾であると受け止めている。
完全否定である。“明白な虚偽”がなぜSNSで拡散されてしまうのだろう。ITジャーナリストの井上トシユキ氏に聞いた。
「昨年の兵庫県知事選では、SNS上で敵と味方が大きく分かれる二項対立が目につきました。加えて、敵に対しては何をしてもいいという風潮が行きすぎてしまったように思います。でも、どちらが正義でどちらが悪といった二分化など、現実社会ではできるはずがない。必ずグラデーションがあって、それを突き詰めて考えるか取材するしか真実に近づくことはできません。ところが、二項対立でないと理解できない愚かな人がいる。そうした人たちがろくに事実を検証することもなく、“明白な虚偽”を拡散したがるのです」
「ネットこそ真実」と本気で言う輩もいる。
群衆の暴走
「ネットの情報は玉石混淆です。それを見分けるには教養と知識が必要であり、一番大切なのは取材です。『ネットにこそ真実がある』という言葉は2000年代初頭に流行った2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)でも言われていましたが、当時はまだ取材をしようとする人も中にはいました。ところが、今のSNSにはいません。『情報を確かめた』と書き込む人も、ネットで確認しただけ。それでウラが取れたと勘違いしている者も少なくない。その情報を確実と思い込み、拡散して悦に入っている者もいるわけです。ウラ取りをしたわけでもなく、“ネットこそ真実”という証明にもなっていないことに気づいていない短絡的な人々なのです。竹内さんは、そうした群衆による暴走の犠牲になってしまったように思います」(井上氏)
県警本部長が明確に否定したことで収まるだろうか。
「彼らはまず『警察が嘘をつかないわけがない』『それを報じたのはオールドメディア』という論理構成になるようです。加えて『立花さんが嘘を言っているとは限らない』『竹内さんにも非がなかったとは言えない』といった投稿も目立ちます」(井上氏)
そうした投稿をしがちな世代などはあるのだろうか。
「さまざまな世代にいるわけですが、目立つのは年齢が高めの方です。40代後半から50代前半の就職氷河期世代で割を食った人々が多いという印象があります。やはり何か抱えているんでしょうね」(井上氏)
やめさせる手立てはあるのだろうか。
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