中年男性に「デブ」「ハゲ」「ブサイク」そろそろやめませんか…容姿いじり「最後の聖域」への違和感
容姿まで揶揄
ところで、1980年代までは使われていた女性を表現する言葉で、もはや今では絶対に使えない言葉が、以下になる。
おばさん、オールドミス、行かず後家、寿退社、家事手伝い、オバタリアン、ブス、ボイン、ペチャパイ、看板娘、クリスマスケーキ(「25」を過ぎたら結婚相手としての価値がない、の意味)、腰掛け、玉の輿。当時のエッセイやオッサン向け漫画を読むとこれらの言葉は頻繁に使われていた。
別にこれらを使わせてくれ、と言いたいわけではない。社会通念としては現在の女性に対する扱いの方が当然正しい。ただ、その一方で、中年男性を「揶揄しても構わない最後の聖域」扱いするのは、そろそろやめてはいかがか? と言いたいのである。
結局、昨今の芸能界を含めたセクハラ・パワハラの加害者は中年男性なわけだから、「強者」であることは事実ではある。強者に対する差別は存在しない、といった主張も一部理解はできる。しかし、上記「子供部屋おじさん」を含め「弱者男性」は存在するし、低身長に多大なるコンプレックスを抱く男性もいる。美女ゲーマーが「170cm以下の男には人権がない」とまで言い放ったが、現実はコレなのである。
阪神タイガースの青柳晃洋はポスティング申請をし、メジャーリーグ入りを希望したが、なかなか決まらなかった。その際、ネットでは彼の実力に疑問符を投げかけるとともに、「ハゲ」とその容姿まで揶揄していた。
ピッカリ投法
太った女性については昨今「これも私の個性」「多様性の象徴」などとして肯定的に捉えられるほか、ファッションショーでもそうした女性モデルが登場するようになった。だが、中年男性は未だにハゲ、デブ、チビ、呼ばわりだ。対抗策は「ピッカリ投法」で知られる佐野慈紀氏のように、自虐ネタを笑いに変えるしかない。佐野氏はプロ野球のOB戦・サントリードリームマッチに出場していたが、投球の際、両腕を頭の上に上げたところで帽子を落とし、ハゲ頭を見せる得意技で人気を博した。試合では、和田一浩氏、小田幸平氏、大和審判、鈴木審判という5人のハゲ頭の人々が小競り合いをする「ピッカリ劇場」が人気だ。
当然、興行関係者は、ハゲ頭が笑いに繋がることを理解しているし、仕事を受けた側もそれが客を喜ばせることを分かっているからこの茶番劇を見事完遂させた。だが、本来、これは「容姿いじり」なわけで、決してホメられたものではない。というわけで、様々な差別用語・揶揄が減っていく中、中年男性は現状を良しとするのか? それとも「男性の権利を守れ!」と動き出す人が出るのか。まぁ、最初は笑われたり、容姿に自信のある人から「だって本当にデブでハゲでチビじゃん」などと言われたりするだけだろうが。
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