中年男性に「デブ」「ハゲ」「ブサイク」そろそろやめませんか…容姿いじり「最後の聖域」への違和感
人権侵害コメントまで
たとえ悪意がなくとも、女性の容姿について言及するのはセクハラにあたり、最大級に失礼なことである、といった風潮はここ数年ですっかり定着した。さらに、かつては「褒め言葉」とされたものも、同様の扱いになっている。主に以下がそうだろう。
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「えっ! そんな年齢行ってたの? 20代だと思ってた!」「かわいいですね(美人ですね)」「スタイルがいいですね」は当然のことながら、「肌がきれいですね」や「永遠の25歳って感じですね」も問題アリ、とされる。
ドナルド・トランプ氏は大統領だった2017年、フランスのマクロン大統領の妻・ブリジットさんに対して「あなたは本当に身体のスタイルがいい」と伝えたことの音声がマイクで拾われ、セクハラだと批判を浴びた。
さらには胸の大きな女性が広告に出てくると、今度は女性の側から「性の商品化だ」「男に媚びている」「環境型セクハラを許すな」などと批判が出てくる。広告に登場する女性は成長とともに胸が大きくなっただけなのだろうが、「胸を小さくする手術だってあるのにそれをしないということは、あなたは性を売っている」という人権侵害コメントまで飛び出す始末。
余計なお世話
というわけで女性の容姿については一切言及しないのがルールとなっている。しかし、男性、特に中年男性に対してはいまだに言いたい放題が許されており、当の中年男性もそれを受け入れている面がある。具体的には、チビ、デブ、ハゲ、短足、ブサイク、キモメンなどである。見た目だけでなく、クサい、暑苦しい、ダサい、汗かくな、風呂入れ、などもある。
さらには短パンに長い靴下を履いていたり、パーカーを着たり、ネルシャツを着たり、ズボンにシャツinしても恰好を揶揄される。だったら……とばかりにベルサーチのスーツでも着ようものなら「成金」「似合ってない」「中身とスーツが釣り合わない」など散々な言われっぷりである。
属性や生活スタイルについても中年男性は酷い扱いをされる。子供部屋おじさん、無職、40過ぎてバイト、引きオタニート、低年収、軽自動車所有、駐車する時にハンドルを何回も切る――。正直「余計なお世話だ!」と言いたくなるようなものですら、揶揄の対象として十分成立するのである。
しかし、同様のことを女性に向かって言えば間違いなく非難殺到となるだろう。さらに、そんなことをメディアで発言したら、そのメディアは謝罪するに至るし、発言者は謹慎となることだろう。
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