時代はネット広告よりも「消火栓広告」? 街なかでお馴染みの“赤い標識”が有名「Jリーグチーム」から熱い視線を集める理由
実は「民間企業」が設置
夜中に「火の用心っ!」の声が響く季節――。北風が吹き荒び、乾燥注意報が発令されるこの時期はとりわけ火災への注意が必要だ。そして、ひとたび火の手が上がった場合、現場へと駆けつけた消防隊員が頼りにするのは、ホースを通じて消火活動のために必要な水を供給する「消火栓」である。
【写真】ちょっと意外でした…「消火栓広告ってこうやって設置するんだ」の一部始終
米・ロサンゼルスでは未曽有の山火事が猛威を振るっているが、延焼の原因として消火栓の水圧低下と貯水池の水不足が挙げられている。木造家屋が多く、住宅が密集する日本においても消火栓の存在が重要なのは言うまでもないだろう。
多くの場合、消火栓はマンホールのように地中に備え付けられており、その位置を分かりやすく知らせるために「消火栓標識」が存在しているのだ。実際、日本の街なかではおよそ100メートルから200メートルごとに、真っ赤な「消火栓標識」を目にする。幹線道路沿いに立っていることもあり、当然ながら国や自治体が設置しているのかと思いきや……。こうした消火栓標識、実は、民間企業によって設置されているのだ。
「ええ、そうです。消火栓の標識は、われわれが自治体の正式な許可を得て設置しているものになります」
そう解説するのは「消火栓標識株式会社」の毛利綱作社長である。消火栓標識の設置や維持管理を担う業者は全国に複数あり、同社は業界最大手だという。とはいえ、なぜ民間企業がわざわざ標識の設置を手がけるのだろうか。まさか“自腹”を切っているわけではないと思うのだが……。その謎を解くカギは、赤くて丸い“消火栓”のマークの下に設けられた縦36センチ、横76センチの長方形のスペースにあった。
「消火栓標識を思い浮かべると、四角いスペースに“広告”が入っているのに気づかれるはずです。私どもの会社はその広告収入によって、消火栓標識の設置費用や、メンテナンスにかかる維持費を賄っているのです」(同)
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