元トランプ側近のジョン・ボルトン独占インタビュー トランプ2.0が日本に与える影響とは
いよいよ今月20日(日本時間の21日未明)、トランプ氏が米国大統領に就任する。昨年から取り沙汰されているさまざまな政策や人事で大混乱必至の様相だが、具体的に世界はどんな危機に直面するのか。前回、国家安全保障問題担当補佐官を務め、後にたもとを分かった外交のエキスパートの警告。
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〈2024年11月5日、ドナルド・トランプ氏は米大統領選挙で地滑り的な勝利を収め、ホワイトハウスに復帰することになった。2度の暗殺未遂や前代未聞の有罪判決を乗り越えて得たこの結果は、国内外に大きな衝撃を与えた。同時に、共和党は上下両院の支配権を獲得したが、これはアメリカの有権者がトランプ氏へ与えた強力な「信任」と解釈されている。多くの有権者は、ワシントンの既得権益政治や、アメリカが直面する重大な外交・安全保障問題が解決されることを切望しており、トランプ政権に対する期待は一層高まっているのだ。
果たしてトランプ氏はこの期待に応えることができるのか? 第2次トランプ政権は米国と世界をどのような方向へ導くのか?
トランプ前政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官(2018~2019)を務め約1年半で辞任したジョン・ボルトン氏に独占インタビューを行った。2005年から2006年まで駐国連米国大使を務めたボルトン氏は、40年以上にわたりワシントン政治の中心で活躍した人物である。〉
「イエスマン」ばかり選ぶ
今まで報道されているトランプ氏の閣僚や上級職の人事には、一貫して「イエスマン」や「イエスウーマン」を選ぶという特徴が見られます。忠実な信奉者を集めたと評する人もいますが、私はその表現は使いません。忠実という資質は、本来であれば望ましいものです。しかし、トランプ氏が求めているのは、あくまで封建的な意味での従属的な忠誠心だといえます。
そのような人材起用は、トランプ政権にとって決してプラスにはなりません。たとえ目標が一致し、哲学的なアプローチが共通していたとしても、優先順位や戦術などに関して多くの異なる意見が生じます。それは本来、議論されるべき正当な対象です。ですがトランプ氏は、自分が「こうしたい」と言えば、内閣の全員が「イエス」と答えることが当然と期待しているように見えます。これは、いずれ国を窮地に追い込むやり方です。
もちろん、大統領が最終的な決断を下すべきだという点に異論はありません。しかし、最善の決断とは、十分な情報をもとに、さまざまな選択肢を慎重に検討し、その決断がもたらす影響をきちんと理解した上で下されなければなりません。
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