電気警棒で殴られ、生きたまま臓器を摘出…中国人俳優「誘拐事件」は氷山の一角、“東南アジア詐欺拠点”の地獄絵図

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ミャンマーにある「東南アジアの最終地点」

 22年の詐欺拠点報道で最も恐怖の対象になった場所は、ミャンマー・カレン州ミャワディの「KK園区」である。21年に設立された国際救助NPO「GASO(Global Anti-Scam Organization)」のスタッフは当時、転売を重ねる人身売買においてKK園区は「東南アジアの最終地点」 であり「残虐行為のレベルが高い」と指摘していた。

 当時の中華圏メディアは、残虐行為の象徴として「生きたままでの臓器摘出」を盛んに報じていた。KK園区に売られた人たちはすでに転売できる“商品価値”がなく、最終的には麻酔をかけられて船に乗せられ、臓器を摘出された後は海に捨てられるという内容だ。また台湾では、臓器売買目的でKK園区に人を向かわせたグループが有罪判決を受けている。

 KK園区を含む周辺の詐欺拠点では、現在も暴力が日常となっている。23年9月に救出された中国人医師は中国メディア「環球時報」に対し、逃亡に失敗すると下半身が黒く腫れあがるまで棒で殴られたことを明かした。鉄パイプで作った檻に入れられ、毎日10時間以上立ち続けることを強制されたという。

 23年から1年以上収容されていた17歳の中国人少年は、激しい暴力で精神のバランスを崩してしまった。帰国後の病院で壁に頭をぶつけたり、テーブルに突っ伏したまま動かなくなったりする姿の映像は大きな衝撃を与えている。

 以上はほんの一部にすぎない。22年後半の中華圏メディアは連日こうした記事であふれ、同時に注意喚起の役割も果たしたものの、現在も日本を含む様々な国籍の6000人以上が監禁されているとの報道が盛んだ。詐欺拠点へおびき寄せる手口が巧妙化しているという指摘もあり、王星さんが騙された「芸能関係者への仕事依頼」は最新の手口だという。

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