収入が途絶え、亡き母の墓所を手放し…「淡路恵子」長男・島英津夫さんが告白した、没後10年の“地獄”と再生

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真田広之に刺激

 母の死から10年。まさに波乱万丈というしかない歳月を送った島さん。振り返って何を思うのか。

「もちろん母の借金ではありますが、一方で、私自身の“おごり”が出てしまったんだと思います。地に足がついていなかったといいますか……。これまでさまざまな場面で重要なことを人任せにしてしまい、今の結果を招いてしまった。生前、母からは人に迷惑をかけるな、ということだけは口酸っぱく言われていました。芝居についても何にしても、周りの人を大切にしなさい、周囲に支えてもらって初めて人は大きくなれる、と。その精神に欠けていた気がします。その責めがすべて自分に来たんだと思います」

 自省する島さんだが、最近、嬉しいニュースがあったという。俳優の真田広之がドラマ「SHOGUN 将軍」で大ヒットを飛ばし、エミー賞やゴールデングローブ賞を受賞したことだ。実は島さんと真田とは同学年で高校が一緒。その後も50年来の友人付き合いが続いていたという。

「広之はおふくろを慕っていて、若い時はうちに来て手料理を食べることもありました。おふくろが亡くなった時も、ロサンゼルスから電話をくれました。“今日は(淡路さんと)一緒に酒を飲むよ”“お前も舞台頑張れよ”と。その広之がゴールデングローブ賞とは涙が出ました。向こうは大スターですからレベルが違う話ではありますが、あれを見て、俺も頑張らなくちゃと思いました」

必ずやり直せるわよ

 淡路さんは今あの世で、島さんの今をどのように思っていることだろうか。

「週刊新潮」では2013年、入院する直前の淡路さんにインタビューしている。そこで淡路さんはこう述べている。

<私は基本的に、過去を後悔しながら、振り返る生き方を良しとしません。それよりも、今をどう生きるかに全力投球する。ああしたかった、こうしたかったと、済んだことをいくら悔やんでも、そこから得られるものは何もないからです>

<私の人生はまさに波乱万丈そのものですが、一貫しているのは、その時々を必死に生きてきたということ。今はただ、「生かされていることに感謝している」という言葉しか思いつきません>

 こうした言葉を息子に投げかけているのかもしれない。島さんも言う。

「母が生きていればおそらく私を叱ったでしょうが、それでも、必ずやり直せるわよ、と言ってくれたはず。生きて健康でさえいれば必ずやり直せると。何より母自身がそういう生き方を貫いてきた人ですから」
 
 最近、母に面影が似てきたとよく言われます、と語る島さん。

 10年経ってもなお、淡路さんの周囲は波乱万丈である。

前編】では、淡路の最期の姿と、遺産や未払い金の詳細について語っている。

デイリー新潮編集部

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