遺産はわずかで、未払い入院費「1300万円」が残され…「淡路恵子」没後10年の「負債」と訴訟トラブルを、長男・島英津夫さんが初めて明かす

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混乱の中

 淡路さんの人生は、波乱万丈そのもの。最初の結婚はフィリピン人歌手のビンボー・ダナオとの事実婚。11年間の結婚生活で、長男の島さんと次男をもうけた。離婚後、歌舞伎界から映画界に転向した時代劇スター・萬屋錦之介と再婚する。夫を支えるために引退し、3男と4男をもうけた。しかし、1982年、錦之介が経営する「中村プロダクション」が倒産。折も折、夫は「重症筋無力症」という難病にかかり、看病に忙殺された。その甲斐もあり、錦之介は奇跡的に回復し、復活を果たす。しかしその錦之介が、元宝塚のトップスター・甲にしきと不倫関係に。淡路さんは1986年に4人の子どもを連れて飛び出し、離婚することになったのである。その後、3男が22歳でオートバイ事故により死亡。4男も淡路さんの留守宅で窃盗をして逮捕され、実刑判決を受けた。4男は出所後、アルコールに溺れ、2010年、36歳で自死を遂げている。

 波乱そのものの一生だったが、実はその80年の生涯を終えても、淡路の遺族は未だ混乱の中にあった。

入院費、葬儀費……

 島さんが続ける。

「母が亡くなった後、虎の門病院の入院費が未払いになっていることがわかりました。母の入院については、私が舞台で忙しかったこともあり、すべて母が所属していた個人事務所の社長さん任せにしていたんです。それが失敗でした。母は芸能人ということもあり、一泊4万5000円もする個室に入院していた。そんな高額だとわかっていたら、部屋を移していたのですが……。その費用が1300万円ほども未払いになっていたんです」

 葬儀費用も多額だった。

「青山葬儀所で行いました。これは淡路恵子の葬儀だから、と私が考えてのことです。この費用は1000万円ほどかかっています。それでも、母の遺していたであろう預貯金に加え、加入していた生命保険金がおりれば支払えるだろうと思っていました。生前の母は、2500万円と1600万円の、2つの保険に入っていたということも聞いていましたから……」

 しかし、その後、遺産を調べて驚いた。

「預貯金は200万円ほどしかありませんでした。そして、生命保険も既に解約してしまっていた。生前、4男の金遣いが荒く、当座の生活費が必要だったのでしょう。別の生命保険に入り直していましたが、それは150万円ほどしかない。他にも数百万円相当のバッグなどを持っていたはずでしたが、これも全て4男が勝手に売って、酒代などにしてしまっていた。また、倉庫には、母が使っていた着物や毛皮のコートなどが50着ほど残されていましたが、これも古いものですし、母が着るために部分的に手を入れてしまったりしていたため、思ったほどには価値がありませんでした」

 やむなく、葬儀費用に、残った預貯金を充て、不足分はスポンサーに肩代わりしてもらった。着物や衣類などは、穴埋めに充てる意味もあり、そのスポンサーに預けたという。それでも残ってしまったのは、巨額の入院費用である。

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