遺産はわずかで、未払い入院費「1300万円」が残され…「淡路恵子」没後10年の「負債」と訴訟トラブルを、長男・島英津夫さんが初めて明かす
女優・淡路恵子さん(享年80)が亡くなったのは2014年の1月11日。今年で没後丸10年が経過したことになる。女優として、また後年はバラエティでの舌鋒鋭いコメントで人気だった淡路さん。その私生活が、2度の結婚と離婚、夫の難病、息子の逮捕に死……と波乱万丈であったことでも知られている。その余波は未だに続き、長男・島英津夫さん(64)も、未だ激動の中にあるという。島さんが亡き母の思い出と、没後の自らの苦境について初めて明かした。【前後編の前編】
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淡路さんは1933年生まれ。松竹歌劇団(SKD)に入団し、人気ダンサーとなる。後、松竹大船、続いて東宝に入社し、「駅前シリーズ」「社長シリーズ」などに出演。黒澤明、成瀬巳喜男らの映画にも出演した。その後、一度は引退するも、54歳で復帰。映画「男はつらいよ」などに出演した。後年はテレビのバラエティ番組にも出演し、若い視聴者にも親しまれたのは記憶に新しい。
「10年が経ちましたが、今でも母が生きていて叱られるんじゃないかという気がします。亡くなったという実感はまだ薄いですね」
そう述べるのは、淡路さんの長男で俳優の、島英津夫さんである。淡路さんは2013年の7月、大腸に腫瘍が見つかり、虎の門病院に入院。翌1月に食道がんで亡くなるまで、退院することは叶わなかった。
「入院中は3日に一度は電話がかかってきて、カップラーメンを買ってきてくれ、などと言われましたよ。でも、行く度に、先生にレントゲンを見せられ、がんがどんどんどんどん全身に転移していっていることがわかったんです。痛み止めのモルヒネのパッチを付けていましたが、それでも痛いようで、“あなたお芝居やってんの?”などと話すものの、10分ほどで意識が朦朧としてしまうことも。本人も死を意識していましたが、一方で、“お母さん、死ぬのは怖くないの。だって、錦ちゃん(2番目の夫・萬屋錦之介さん)にもうすぐ会える。晃廣(3男・故人)にも哲史(4男・故人)にも会える”と言って。昔、共演した三船敏郎さんや勝新太郎さん、石原裕次郎さんの名を挙げて“天国に行ったら、今よりよっぽどいい映画ができるわよ”とも笑っていました」
亡くなったその日は、島さんが主宰していた劇団「萬屋錦之助一座」公演の最中だった。
「“今日が山かもしれない”と連絡を受け、開演前に病院に駆けつけました。既に昏睡状態でしたが、手を握りながら“おふくろ、舞台に行ってくるね”と大きな声で話しかけたのが最後でした。訃報を受けたのは夜の部が終わった後。記者会見を終え、遺体を見て、初めて涙が込み上げてきましたね」
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