なぜ「ランドセル登校」なのに「遠足はリュック」なのか… 現役教諭も疑問を抱く学校の“奇妙なしきたり”

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 授業中の水分補給禁止や、明るい地毛の強制的な黒髪染髪など、たびたび話題にのぼる「ブラック校則」。現役の小学校教諭である齋藤浩氏は、ブラック校則とまではいかないにしろ、学校にはまだ、よくよく考えれば理不尽な「奇妙なしきたり」が数多く残っていると指摘する。

(前後編の前編)

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※この記事は『学校に蔓延る奇妙なしきたり』(齋藤浩著、草思社)の内容をもとに、一部を抜粋/編集してお伝えしています。

奇妙なしきたり1 どんなに暑くても腕まくりは禁止

 ニュースでは時代に合わない校則が頻繁に取り上げられ、いかに学校が旧態依然としているのか、問題提起が繰り返されている。私も非常勤で教えている大学で、学生から信じられないような実態を耳にした。

「私の中学校では、どんなに暑くても腕まくりが禁止でした」
「ポニーテールが禁止でした。うなじが見えて、男子が興奮すると危険だからというのが理由でした」

 ちなみに、うなじが見えては危険だと判断していたのは、事もあろうに教頭だったという。御本人に思い当たるような経験でもあったのだろうか。理解に苦しむような実態である。ただ、子どもたちを縛っているのは、何も校則だけではない。

「学校の決まり」として明文化されているのは、学校のルールのごく一部で、多くの学校で不文律として存在する決まりが数多くある。「暗黙のルールを守らせることで、子どもたちは落ち着いた生活ができる」そう信じる人々によって脈々と受け継がれ、学校を強固なムラ社会にするのに一役買ってきた決まりごとである。

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