「専門家からすると“自殺行為”」 事故多発の再生医療の闇… 「儲け優先の医師が売りまくっている」

ドクター新潮 ライフ

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 美容医療業界で近頃人気を博す「エクソソーム」。細胞から放出されるこの物質を利用した治療法は「再生医療」に位置付けられることもあり、タレントや有名実業家がこぞって宣伝してきた。だが「新時代の美容医療」ともてはやされる陰には大きな落とし穴も――。

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 東京・銀座や日本橋といった日本を代表する高級繁華街。これらの地で近年とくに増えているのが、再生医療を看板に掲げるクリニックだ。そんなクリニックの一つに厚生労働省が再生医療等の提供の一時停止を内容とする緊急命令を出したのは、昨年10月のことだった。

 全国紙記者が語る。

「緊急命令を受けたのは、がんなどの予防をうたう再生医療を自由診療で提供するクリニックでした。このクリニックでは患者の体内から採取したNK細胞と呼ばれる免疫細胞を培養・加工し、再び体内に戻すことで、患者の免疫力を活性化させるという治療を提供していましたが、施術を受けた患者のうち2名が重大な感染症にかかってしまったのです」

 この治療は1クール当たり300万円前後の費用がかかる超高額治療。細胞の培養を専用施設内の“クリーンルーム”で行うため、安全性が担保されているというのがウリのはずだった。

「しかし、そこで培養された細胞加工物が細菌で汚染されていたわけですから、結局は管理がずさんだったということでしょう。クリニックを運営する医療法人は速やかに当該クリニックを閉鎖しましたが、系列の別のクリニックは何食わぬ顔で営業を続けています」(同)

後を絶たない医療事故

「再生医療」と聞けば、多くの人が「高度な医療」や「先進的な医療」といったイメージを抱くに違いない。2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏の「iPS細胞」を思い浮かべたり、「不老長寿」という夢物語を思い描いたりする人もいるだろう。しかし「その安全性は?」と聞かれれば、よく分からない人がほとんどなのではないか。

 実は近年、再生医療を巡るトラブルや医療事故が後を絶たない。「無限の可能性」ばかりが強調され、安全性がなおざりになった再生医療がちまたに横行しているのだという。再生医療の現場で一体、何が起こっているのだろうか。

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