「孤独のグルメ」では下戸だけど……俳優「松重豊」が語った“泥酔”失敗談とは? 「酒飲み番組」MCたちのシビれる武勇伝

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“井之頭五郎”の酒の失敗

 筆者はこれまで数百人の有名人に酒話を伺ってきた。飲み倒れから愉快な酒、さらにマンションの隣室に入ってしまった吉沢亮もどきの泥酔騒動ネタまで、飲んべえの話は汲めど尽きることがない。その中から食べ歩き番組、飲み歩き番組の主(ぬし)にスポットを当ててみたい。

 今や、テレビ東京放送開始以来の最大のヒットコンテンツになった「孤独のグルメ」シリーズ。ついに映画化され、1月10日には劇場版が公開された。食べ歩くのは井之頭五郎こと、俳優の松重豊。ドラマの中ではワシャワシャとおいしそうに食べる姿しか映し出されないから、「松重さんは下戸?」と思っている視聴者がほとんどだろう。実際、五郎は下戸という設定になっている。

 だが、筆者は「結構、飲む人なのに」と、テレビを見ながら呟いたりしている。

 インタビューの最初の一言は「困ったなあ、飲んでないんで」だった。五郎さんのイメージを壊したくないのと、若い頃は飲んでも、後々飲まなくなる人も多いから実際、そうなのかもしれない。

 酒は明大の文学部に入って、演劇部の先輩に鍛えられたという。

 松重にとって忘れられないのは、記憶をなくした沖縄での泥酔だ。あるロケが終わり、午後3時頃、飛行機の最終便まで時間があるので友人に会いに出かけた。ビールで乾杯した後、泡盛を徳利から注いで飲み始めたという。泡盛は焼酎と比べてアルコール度数が高い。それに仕事終わりの解放感もあって、クイックイ飲んだらしい。

 眠りこけた松重の肩を叩く人がいた。客室乗務員だった。

「お客さん、羽田に着きましたよ」

 泡盛を飲んで記憶をなくした松重はなんと無意識のまま店を出て空港に行き、飛行機に乗り、夢の世界を飛んでいたのだ。実際は店のママが泥酔した松重をタクシーに押し込んでスタッフの下まで送り届け、飛行に乗ることができたということらしい。

 この時、お土産にもらったちんすこうだけは手放さずにしっかり持っていたそうだ。食い意地が張っている五郎さんらしいエピソードだ。

 最も量を飲んだのは、演出家と二人で飲んだ生酒の徳利26本、さらにバーやスナックをハシゴして洋酒をしこたま。「止まり木の椅子がグラングラン揺れて大変だった」。

 飲んでないとは言いながら、「嫌いじゃない」「許される限り飲んでいきたい」ともいうから、実は「孤独の一杯」も楽しんでいるかもしれない。

酒飲み番組の司会者たち

 飲み歩き・酒飲み番組といえば、BS-TBSに人気番組が多いが、何といってもその先駆けは「吉田類の酒場放浪記」だろう。

 番組では店を出た後「もう一軒」と言いながら一句詠み、千鳥足姿の吉田類が映し出される。かなりできあがっているように見えるので、大丈夫か? そんな心配をする人も多いに違いない。

 だが、それだけではない。何ごとも下調べが必要、とのこと。吉田類いわく、番組スタート当初は、午前中に地域の酒屋を回って試飲し、昼過ぎには立ち飲みで情報を収集していたという。

 本番はそれから。何軒(店)かでチャンポンし、収録が終わったらスタッフと打ち上げ。いったい、どれだけ飲むのか。まさに“鉄の肝臓”の持ち主なのだろう。

 一方、「町中華で飲ろうぜ」は、全国のひなびた(失礼?)中華屋さんにまで光を当てたヒット番組として絶大な人気を誇る。「町中華男」はご存じ、玉袋筋太郎。633(ビール大瓶)から注がれたビールを駆けつけ一杯飲んで、定番の「気道を確保!」のセリフにシビレるファンも多い。

 玉ちゃんは町中華ばかりではない。全日本スナック連盟会長でもあり、本人も東京・赤坂などでスナックをやっている。

 スナックの楽しさを表した玉ちゃんの名言がある。飛び込みでスナックに入ることを「オヤジ狩り」と呼んでいる。見知らぬオジサンと友だちになることを指す。当たり外れもあるけど、外れても人生勉強になるから当たりだそうだ。

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