中日の守護神「マルティネス」を獲得した巨人 これまでも他球団で成功した「助っ人外国人」を数多く“引き抜いて”きた過去が
巨人が中日の絶対的守護神・マルティネスを獲得し、リーグトップのリリーフ防御率をさらに盤石なものにし、「前半のリードを守り切る野球」でV2を狙っている。もともと巨人は、自前で獲得した助っ人に“外れ”が多く、他球団で実績を残した助っ人を引き抜く傾向が強い。打者ではラミレス、ペタジーニ、ローズ、李承燁らがおなじみだが、投手の引き抜きも多数に上る。【久保田龍雄/ライター】
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【写真を見る】外国人史上初の「全12球団勝利」を達成した助っ人外国人投手
阪神時代から“問題児”だったメイ投手
その走りとなったのは、1997年にロッテから移籍した208センチの長身左腕・ヒルマンである。
ロッテでは2年連続二桁勝利を挙げ、“日本一奪回のキーマン”と期待されたが、1年目は肩痛を理由に登板わずか2試合の0勝1敗でリタイア。内視鏡手術を受けて再起を期した翌98年も「左肩に小錦が乗っている」などの“迷言”で再手術を希望し、「完全復帰まで約2年かかる」と訴えたことから、「金さえ払えば解雇できるんだ」という渡辺恒雄オーナーの鶴の一声で、5月30日に解雇。2年分の年俸5億円をドブに捨てる結果となった。
ヒルトンではとんだミソをつけた巨人だが、今度は先発左腕の補強が急務だった2000年に阪神を退団したメイを獲得する。
阪神時代は短気な性格が災いし、一塁ベースカバーの判定をめぐって塁審に暴行して2週間の出場停止処分を受けたり、前記の謹慎期間中に恋人同伴でグアム旅行に出かけたことを野村克也監督に叱責されると、“野村批判”のビラを報道陣に配るなど、問題行動を繰り返した。巨人戦では、ふだんは温厚な松井秀喜を右肘死球で怒らせ、あわや乱闘の騒ぎになったこともあった。
その松井と、くしくもチームメイトになった移籍1年目は、12勝を挙げてチームの6年ぶり日本一に貢献したものの、6月7日の古巣・阪神戦では、和田豊が3回続けて打席を外したことに怒り、「トゥ・ヒム(彼を狙った)」と頭部付近に投球する事件を起こし、10日間の出場停止処分と素行の悪さは改まらなかった。
翌01年も10勝を挙げたが、メジャー復帰を望み、2年で退団。帰国後、ロイヤルズ、パイレーツなどでプレーした。
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