「フジテレビはさらに危機に陥った」…「中居トラブル会見」で港社長が犯した「致命的な過ち」を専門家が指摘

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大谷と港社長の大きな差

「昨年、大谷選手の通訳が賭け事で大きな借金を背負ったときに、彼はドジャースの同僚や関係者に自分のスマホを見せて自身の関与を否定する証拠を示しました。これで彼はチームから信用されたのです。逆に“グレー”や“クロ”の人間というのは、“無実”ではなく“無罪”を語るものです。それを考えると、港社長は“無罪”を語っただけにように思われます。ですから、説得力も解毒効果もないのです」(田中氏)

 ちなみに、田中氏はフジから何度も取材を受けてきたという。

「『めざましテレビ』などで、企業の不祥事についてどこが問題かということを答えてきました。解毒するための会見でかえって毒を増やしてしまうのは、危機管理ではなく危機“喚起”だとコメントしてきたんです。それをフジは、自らやってしまったわけです」(田中氏)

 コメントのし甲斐がなかったということだろうか。

「それもありますが、今後、フジの記者やディレクターが取材をしにくくなってしまうことが私としては心配です。なぜこんな記者会見を行ってしまったのか理解に苦しみます」(田中氏)

吉本の対応とのデジャブ

 思えば1年前、ダウンタウンの松本人志(61)による性加害疑惑が報じられたときの吉本興業の対応と重なって見える。松本の報道があったのは2023年12月27日だったが、同日、吉本は報道を全否定する文書を出した。年が明けて昨年1月8日、松本は裁判に注力すると宣言。同24日、吉本は《事実確認を進めている》と発表した。

 一方、昨年12月26日に中居の女性トラブルが報じられた翌日、フジは全否定の文書を発表。年が明けて1月9日、中居が謝罪のコメントを発表。そして今回の会見という流れだ。ちょうど1年違いで、似たようなことが繰り返されているようにも思える。

「まさにデジャヴュですね。企業の危機管理にはデジャヴュが少なくありません。なぜかというと、人は危機に遭遇すると2つの“トウソウ”本能に支配されてしまうことが多いからです。この2つに支配されると、危機管理は失敗するのです」(田中氏)

 2つのトウソウとは「逃走」と「闘争」のことだという。

「今回の問題は一昨年6月に起こったといわれていますが、フジはこの問題から1年半ほど逃げて(逃走)きました。それが報じられると闘い(闘争)に転じました。このように2つのトウソウに支配されてしまったわけです。例えば、山で熊に遭遇したら逃げてはいけないと言われます。じっとして、熊の目を見ながら後ずさりする、冷静な対応が必要です。しかし、ほとんどの人は怖いから逃げます。逆に、そこに子供や奥さんがいたら、男は熊に勝てるわけがないのに戦おうとする。どちらも間違っていて、逃走と闘争に支配されているから間違うのです。企業も芸能人も同じことをしてしまうのは、人間の性と言ってもいいでしょう」(田中氏)

 ならば今回の会見は、どうすべきだったのだろう。

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