「フジテレビはさらに危機に陥った」…「中居トラブル会見」で港社長が犯した「致命的な過ち」を専門家が指摘
1月17日、フジテレビの港浩一社長(72)が緊急会見を開いた。タレントの中居正広(52)と女性とのトラブルに、フジの社員が関わっていたという報道について説明するものと思われた。
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昨年末から報じられている中居の女性トラブルは、日を追うごとに波紋を広げている。そのための会見だが、参加できたのは全国紙やスポーツ紙が加盟する「ラジオ・テレビ記者会」の加盟社と、オブザーバーとして参加が認められたNHKと民放キー局の各社1人のみ。しかも、フジテレビ以外のテレビ局は質問すらできなかった。ネットメディアやフリーの記者、この問題を報じた「女性セブン」や「週刊文春」も閉め出され、言うまでもなくデイリー新潮も会見場に入り込むことはできなかった。
もっとも、緊急会見で港社長が主張した内容は、昨年12月27日にフジが発表した「一部週刊誌等における弊社社員に関する報道について」で、《当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません。/会の存在自体も認識しておらず、当日、突然欠席した事実もございません》と報道内容を全面否定したものと大差ないようだ。少し前進したように見えるのは、「第三者が入る調査委員会」を設置することくらいだ。
果たして、この会見にどのような意味があったのか――。企業の危機管理コンサルティングの専門家に訊いた。
「会見は危機管理のために行われるものですが、これは危機“喚起”以外の何ものでもありませんでした。かえってフジテレビが危機に陥る結果となりました」
と話すのは、株式会社リスク・ヘッジ取締役の田中辰巳氏だ。危機を“喚起”する会見とは、どのような意味だろうか。
第三者を入れた調査委員会
「危機管理は『感知』『解析』『解毒』『再生』という4つのステージを踏むことが基本です。危機を素早く『感知』し、現状と展開を『解析』した後に、詳しい説明や謝罪などで『解毒』した上で、窮状からの『再生』を図るわけです。そのうち会見は『解毒』にあたり、毒をなくしたり薄めたりするために行うものです。しかし、今回の会見には全く解毒効果が見られませんでした」(田中氏)
具体的にはどこがまずかったのだろう。
「会見というのは自分たちが喋りたいことを喋る場ではなく、メディアが聞きたいことに答える場です。しかし、今回の会見は、ラジオ・テレビ記者会の加盟社を除けばフジ以外のテレビ局は質問ができないなど相手を限定し、自分たちに都合のいい状況を作ってしまうというのは解毒には向いていません。また、『第三者を入れた調査委員会』の設置と言っていますが、“第三者を入れる”では駄目です。日本弁護士連合会のガイドラインに沿ったような“第三者だけで構成”しないといけません。しかも、その第三者の調査が終わる前に断定的なことを言っては駄目なんです。それでは第三者委員会を作る意味を否定するようなものですから」(田中氏)
年末にフジが発表した内容と同様、今回の会見でも「当該社員が企画したり、ドタキャンしたりしたこともない。会合を開いた事実もない」と全否定した。
「食事会を設定していないと断定するのであれば、その日は何をやっていたとか、それは誰が証明できるとか、当該社員がどこで何をしていたとか、言葉ではなく証拠で示さなければいけません。“シロ”の人間というのは、明確な証拠を提示することで無実が証明できますから」(田中氏)
それができたのは、意外にもドジャースの大谷翔平だという。
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