元「おニャン子」新田恵利、大学教授の今 実母の介護体験伝える「人間、信頼している人の言葉はよく聞きます」

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「シニアあるある」を紹介

 そこで学生たちにこんな質問を投げかけた。

「みんな、お父さんお母さんの誕生日は知っていますか」

 半数以上の生徒が手を挙げると、満足そうに頷いて、

「彼氏、彼女の誕生日は知っていても、ご両親の誕生日を知っているという人が、以前は3分の1もいなかったので、立派です。では好きな食べ物は知っていますか?」と向けた。

 これに手を挙げたのは3人ぐらい。

「みんなこれから1~2年後には就職しますよね。そのときの初任給でご両親の好きな食事をプレゼントするなんて、素敵だと思いますよ。今のうちに聞いておいても、多分聞いたことすら忘れていると思いますから、サプライズでプレゼントすることをお勧めします」と白い歯を見せた。

 さらに親が学生時代に入っていた部活、好きな色、初恋の思い出、プロポーズの言葉は知っているかと質問していった。

 介護現場での実習も経験してきた学生たちが目を輝かせたのは「シニアあるある」として、こんな話になったときだ。

「シニアになると、否定から入るんですよね。ちょっと薬が違うというだけで飲むのを嫌がったり、何か質問や提案をしてもまず首を振る。そんな相手に心を開いてもらうのはハードルが高いと思います。そこで、たとえば好きな映画を聞いてみるのはどうですか? そこからつないでいく。たとえば『男はつらいよ!』が好きなら、シリーズでたくさん出ていますから、どの回のどのマドンナが好きなのか聞いていくとか……」

 新田先生の所属していた「おニャン子クラブ」の話でも、介護の現場ではシニアとの信頼関係を構築する架け橋になるかもしれない。「KAKO KAKOノート」というオリジナルのノートを作って、やり取りしながら過去を振り返りノートを埋めていく。恵利流コミュニケーション術で学生を沸かせた。

 講義後、感想を聞くと好評で「アイドルと先生というと、最初はギャップを感じましたけど、私たちの前ではちゃんとした新田先生です」と言った女子生徒もいた。学生たちは「おニャン子クラブ」会員番号4番として人気を博した新田先生を知らない。しかし元アイドルには、学生たちの親や親せきの世代が強く興味関心を示し、盛り上がっているのだそうだ。そんな影響力もあってか、2025年も引き続き客員教授を依頼した結城康博教授は「すばらしい」と新田先生に太鼓判を押した。

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 第2回では、学生への思いや介護に対する考え方などを語る。

新田恵利
1968年、埼玉県ふじみ野市出身。1985年、「おニャン子クラブ」のメンバーとしてデビュー。1986年、「冬のオペラグラス」でソロデビュー。タレント、女優として活躍する。2023年から淑徳大学総合福祉学部の客員教授。

デイリー新潮編集部

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