ヒットを狙った「ドラマティック・レイン」、ミリオンの「クリスマスキャロルの頃には」 稲垣潤一が登ったスターダム

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ミリオンセラーは今も季節の風物詩

 そして1992年10月28日、シングル「クリスマスキャロルの頃には」が発売された。前年の「メリークリスマスが言えない」に続くクリスマス曲で、TBSドラマ「ホームワーク」の主題歌となり、大ヒット。自身初のミリオンセラーシングルとなった。

「皆さん、いろんな思い出を僕の曲に持っていてくださる。『クリスマスキャロルの頃には』もそう。そういうお話を聞くと、人生のBGMではないけど、僕の曲が色を添えたということに感動しますね。ウォークマンなど音楽を携帯できる時代でしたから、夏は海、冬はスキーに行くときに聴いた音楽が、目に見えるものと共に、まさにミュージックビデオのようになった時代だったと思う。僕らもそれを意識して作っていた部分もありました」

 リクエストを募って歌うコンセプトライブなどでファンの思いに触れるたび、そんな思いを新たにしている。

男と女のデュエット

 2008年にはデュエットでカバー曲を歌うアルバム「男と女-TWO HEARTS TWO VOICES-」をリリース。大きな反響を呼び、シリーズは第5弾まで作られた。

「60曲以上、60組以上の方とデュエットさせていただきました。僕のキーと女性の方のキーは違うので転調も必要だし、その辺りはアレンジャーの腕の見せどころでもありました。当初は普通のカバーアルバムを作る話もあったんですが、デュエットが面白そうということになって。最初はデュエットに二の足を踏む方もいらして、制作に時間がかかりました。でもその後は広く聴いていただいて、デュエットに手を挙げてくださる方も出てきて嬉しかったですね」

 ソロとは異なり、相手と寄り添うように歌わないとデュエットにならない。一人なら崩した形で歌ってもいいが、デュエットではそうはいかない。相手とのピッチ感、グルーヴを合わせ、声が重なるハーモニーがうまれたときの心地よさは何物にも代えがたいという。今も、「あの人とあの曲を」というリクエストがファンからは多い。

やはり生 ライブに来てはじける気持ちに応えて

「コロナですごく窮屈な思いをした分、ライブではとことん楽しみたいと足を運ばれる人は多い。声を一緒に出してもいいし、歓声を上げられる状態に戻ったコンサートには、オーディエンスの開放感がありますね」

 2025年のライブは1月26日の茨城県水戸市からスタート。 これとは別にアルバムを再現するコンセプトライブなども予定されている。また昨年から始めた叩き語りのライブも予定中だ。

「今はコンピューターが発達して、僕が生でドラムを叩いて、その打ち込みデータに合わせて歌うという形が可能になったので、今年もぜひやりたい。叩き語りというスタイルはちょっと絶滅危惧種的な感もあるので貫き通したい。いろいろな思いを抱えて会場に足を運んでくださる皆さんの思いは僕たちにも届く。それに応えられるような演奏と歌を届けたいと思っていますよ」

 デビューから43年。そのスタイルをまだまだ楽しんでいたい。

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 第1回【中学時代からの“叩いて歌う”スタイルは「今も難しい」 稲垣潤一が語るデビュー前夜】では、仙台で店専属の「ハコバン」時代にデビューをつかみ取るまでの経緯などを語っている。

デイリー新潮編集部

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