「陰謀の類い」が選挙結果を左右する時代に SNS選挙の台頭を許したマスコミの責任は 「無味乾燥な報道をしてしまった」

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「客観的な事実」と証明されていない要素が

 YouTubeの検索ボリュームでは立花氏が斎藤氏を上回っており、立花氏が注目を集めるとそれを追いかけるようにして斎藤氏の検索数も伸びてくる。

「こうした検索ボリュームを見ると立花氏が斎藤氏を引っ張り上げている構図がよく分かります。立花氏の登場をきっかけとして、SNSなどでは斎藤氏を取り上げないマスコミへの不満や不信が盛り上がり、徐々に燃え広がった結果、有権者の斎藤氏への評価がひっくり返ってしまったわけです」(米重氏)

 問題は立花氏のSNSの投稿内容。そこには、「客観的な事実」と証明されていない要素が多々含まれていた。

告発した元県民局長を攻撃

 例えば、「X」では、

〈自殺した元県民局長のパソコンに、愛人がいた証明がある!〉

〈100条委員会で、自殺した元県民局長のパソコンから、不倫日記が出て来た!約10年にわたるおっさんの不倫の数々が書かれていた〉

〈兵庫県県議会のヤミを暴露します!(中略)県民に隠している10月25日の百条委員会の、片山副知事の暴露を、必死に止める嘘つき奥谷謙一委員長 証拠の音声〉

〈奥谷謙一委員長が、兵庫県民の敵です!こいつがマスコミに圧力かけて、元県民局長の自殺原因を知事のパワハラにしています!本当の自殺の原因は自殺者自身の不倫だったのに!〉

 などと、しきりに斎藤知事を告発した元県民局長の「不倫」を取り上げている。

単なる怪情報に過ぎないが……

 しかしこれを「客観的な事実」と証明するためには、当事者から話を聞く必要がある。しかし元県民局長はすでに亡くなっているし、愛人とされる女性が事実関係を認めたとの情報もない。つまり、単なる怪情報に過ぎないわけだが、立花氏の投稿に動かされる形で斎藤氏支持に回った有権者は多かったのではないか。

「立花氏が、元県民局長が不倫をしていたなどという情報を主張し始めたことで、当初の、斎藤さんの知事としての資質を問う空気感が変わりました。斎藤さんは、利権を守る守旧派上級国民や真実を隠すエリート“マスゴミ”の犠牲者なんだという論調になり、『正義』が斎藤さんに移った」

 と、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は語る。

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