「“推し活”の一員としてエンタメに参加」 兵庫県知事選でなぜ「政治に興味がない人」までが熱狂したのか
「政治に興味のない人たちが表舞台に」
評論家の古谷経衡(つねひら)氏は、
「今回の石丸さんや斎藤さんに関してはいろいろな分析がされていますが、政治というものに一切興味がない人の存在が分析から抜けていないでしょうか」
と、指摘する。
「世の中には政策なんて見ていないし既存候補が誰かも知らないし候補者が話している内容も分からないという人が一定数以上いるのが事実です。今までそうした人たちは当然選挙にも来ないので表に出てきませんでしたが、今回SNSの熱狂によって政治の表舞台に出てきた。政治に興味がなく選挙に行かない、有権者全体の4割ほどの人を新規開拓したことが特筆すべき点だと私は思います」
ことに兵庫県知事選では、
「『斎藤知事を告発した元県民局長は不倫を隠したくて自殺した』『知事は既得権益者にイジメられている』といった真偽不明の言説が広まりました。政治を知らない人でも、不倫・自殺・イジメといったセンセーショナルな話題であれば興味を引かれます。そこに興味を持った人たちがSNSで熱狂し、表に出てきて選挙に影響を与えたのかなと思います」(同)
斎藤氏には有権者に興味を抱かせるような「ストーリー」があった。そう表現することもできよう。
“推せる物語”
「昨年の兵庫県知事選は一言で言えば『劇場型推し活』でしょうか。意図したしないにかかわらず“推せる物語”を提示した斎藤さん側が勝利を収めた、ということです」
作家の橘玲氏はそう話す。
「テレビのワイドショーはパワハラ問題で斎藤知事を“悪”としてバッシングしましたが、SNSにはメディアの報道はウソばかりだと書いてある。事実(ファクト)を検証しようとしても、内部告発が公益通報にあたるかどうかは法律家の間でも見解が分かれているのですから、素人に判断できるわけがありません。そんな中、誰もいない路上でたった一人で頭を下げている斎藤知事の動画がネットに流れてきて、“善”と“悪”が逆転してしまった」
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