「“推し活”の一員としてエンタメに参加」 兵庫県知事選でなぜ「政治に興味がない人」までが熱狂したのか
6年ほどで1000本以上の動画を
一方、玉木氏に関しては、
「国民民主党はここ6年ほどで1000本以上の動画をアップし、ライブ配信なども積極的に行っていました。そのネット地盤を用いて選挙でアピールしたのが経済対策。そして、それを重視する人たちの支持を集め、今回の結果を勝ち取ったわけです」(米重氏)
社会学者で日本大学危機管理学部教授の西田亮介氏はこう話す。
「石丸さん、玉木さん、斎藤さんに共通するのは、それぞれのやり方でYouTubeをうまく使っているという点です。斎藤さんに関しては、斎藤さんを応援するといって出馬した立花孝志さんや周囲が、という意味ですが」
「ネットの話題がニュースバリューを決める」
YouTubeには動画に映っている人ではなく、それを撮影した他人を稼がせるシステムがある。
「これを他者の収益化と呼んでいますが、つまりはタレントや政治家を映しているだけで収益を得られます。必然的に、この機能で儲かりやすい政治家や候補者を追いかけるユーチューバーが出てきます。これが今回、各選挙で注目を浴びました。候補者からすれば動画を切り抜いてもらえば知名度が増しますし、切り取る側にも経済的インセンティブがあるわけです」(西田氏)
その背景に大手マスコミの凋落があることは言うまでもない。日本新聞協会の調査によると、23年の1世帯当たりの新聞発行部数は0.49部となり、初めて0.5部を下回った。テレビ離れの加速も止まらない。その一方、YouTubeやSNSの存在感は年々増している。
「かつてメディアの序列はマスコミが主でネットが従だったわけですが、今では逆転してネットが主でマスコミが従になっています。これはマスコミ側にも責任があり、特に斎藤知事の件はいち自治体の首長のトラブルに過ぎないのに新聞やテレビが大きく取り上げました。ネットで盛り上がっているから取り上げる。いわばネットの話題がニュースバリューを決めている状態なのです」(同)
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