「身内ノリとイジリ」で“ファミリー”を作ってきたフジテレビ 中居正広のトラブル、背景にテレビ業界の悪習が
NHKは紅白直前にジャニーズの調査ドキュメンタリーを放送 他局にも問われる矜持
当初は沈黙を守っていたテレビ局だが、謝罪文発表を受けてようやく動き出し始めた。その横並びの及び腰にも批判が向けられているが、「業界ではよくあること」と言う人がいるからには、フジに限らず各局内でも徹底した自主調査が求められる。なお日本テレビは、「ザ!世界仰天ニュース」からの中居さんの降板をいち早く発表。島田紳助さんが傷害事件を起こした時は「行列のできる法律相談所」で復帰させた局だったことを思うと、火の粉を払おうとする慌てっぷりには鼻白んでしまうが、日テレの「ファミリー・ビジネス」には変化があったということだろう。
なおNHKでは、昨年の紅白の出場者が発表される前月に、ジャニー喜多川氏の性加害を追ったドキュメンタリーが放送され話題となった。終盤には局内でもSTARTO(旧ジャニーズ)タレント起用に関する意識が分かれていることを示し、うわさレベルではあるものの、社内から企画に圧力が加えられないよう、直前まで番組表には特集名が書かれなかったという。番組の反響のせいかは分からないが、STARTO社タレントの紅白出場枠はゼロ。NHKのスタジオで被害が起きていた事実もあり、身内としてかばうのではなく、当事者としての説明責任を果たそうとする道を選ぶNHK局員がいたことに光を見た。
芸能コンテンツメーカーとしての利権か、それとも報道機関としての矜持か。長きにわたり大衆を情報で支配してきたテレビ局という血族は、ひとつの局面を迎えている。魯迅の「墨で書かれた虚言は、血で書かれた事実を隠すことはできない」という言葉が思い浮かぶ。
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