「身内ノリとイジリ」で“ファミリー”を作ってきたフジテレビ 中居正広のトラブル、背景にテレビ業界の悪習が

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

悪しき業界文化を示唆? 中居さんの謝罪文で問題視された2カ所の異様さ

 中居さんは騒動を受け、9日に謝罪文を発表した。トラブルがあったことと、示談が済んでいるということは事実と認めるという。示談金が9000万円ともいわれているが、金額を含めてトラブルの詳細は一切明かしていない。

 しかし新たな火種を生んだのは二つの文言だった。まず、「示談が成立したことにより、今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました」という箇所。被害者や視聴者・スポンサーらの心情を逆なでするのではという指摘が相次いでおり、本当に弁護士がチェックしていたのかと首をかしげる向きもある。

 そして注目された部分はもう一つ、「手を上げる等の暴力は一切ございません」という箇所だ。性加害の有無という、最も注目が集まっている点に触れない巧妙な言い回しだと批判を浴びているが、一つ言えるのは、「手を上げずとも相手が屈服する」ことに快感を覚える人間が、業界に多いからこそ起きた事件ではないだろうか。

「俺の機嫌を損ねたらどうなるかなあ」と笑ってつぶやくだけで、目の前の女性の体を思いのままにできる、というパターンは一般企業のセクハラ事例でも聞く。法的にも倫理的にも誰にでもできるようなことではないだけに、スリルや優越感、自分が特別な存在だから許されたという強烈な成功体験として捉えてしまう人間は一定数いるのだろう。

 松本さんが飲み会で同席したい女性の条件として、「黒髪」「先生」などと書いたとされるメモ画像が出回ったことがあった。メモの真偽はさておき、男性あしらいに長けていそうな世慣れた女性を言いなりにさせてもつまらない、そんな征服欲や支配欲を感じたものである。

 中居さんの謝罪文には、しくじっても身内で内々に解決をすればいいという、ゆがんだ加害欲と特権意識でつながる「ファミリー・ビジネス」の臭いが漂ってくるような気がする。一方で、中居さんほどの人があの二言をわざわざ入れるからには、謝罪以外の何かメッセージがあるのではと勘繰ってしまうのだ。個人的な意見だが、これは中居さんからテレビ局各局に差し出された「踏み絵」ではないか。スポンサーも視聴者もしょせんは部外者。これからも俺の「ファミリー」に帰属するつもりがあるの?と突きつけたように感じる。松本さんの一件があっただけに、覚悟は決めていることだろう。金にも仕事にもさして執着はないが、「身内の裏切り者」になるのは誰なのか、最後に信じられるのは誰なのかだけは知りたいのではないか、と深読みしてしまう。

次ページ:NHKは紅白直前にジャニーズの調査ドキュメンタリーを放送 他局にも問われる矜持

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。