共産党に寄付、即売却された美智子さまゆかりのカフェ 「遺族は記念館として残したがっていた」

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感化されて支持者に

「『アリスの丘』が共産党に寄付されたのは、桂さんの意思ではありません」

 そう語るのは、森村さんの友人で、「軽井沢新聞」元編集長の広川小夜子氏だ。

「桂さんは、作風通りにメルヘンチックな方で、政治にも縁遠く、お店もメルヘン的な世界観が築かれていました。桂さんの存命中、ティールームは大盛況で、全国各地からファンが来ていたのです」

 森村さんが亡くなると、残された夫に変化が。

「桂さんを失った寂しさがあったのだろうと思います。カフェのスタッフが共産党員だったようで、感化されて支持者になったのです。『赤旗』を購読し、共産党の選挙ポスターをカフェの柵に張るようになりました」

 客足は遠のくばかりで、店が営業しているかどうか、近隣住民にさえ分からない状態が続いた。そして、夫が21年に亡くなると、

「遺言によって共産党に寄付されることになりました。個人的にもカフェは残してほしかったし、遺族の方も記念館のようにして残せないかと思っていました」

「活用不能な状態」

 だが、切なる願いもむなしく、前述の通り、共産党は早々とカフェを不動産会社に売却した。数奇な運命をたどったカフェは2年前に取り壊され、雑草の生えた更地には、寒風が吹きすさぶばかり。往時をしのばせる“よすが”は何もない。

 共産党にカフェ売却についての見解を尋ねると、美智子さまとの縁を知っているとした上で、

「森村桂氏の業績・作品への敬愛の思いをお持ちの方が多くいらっしゃることと思います。(中略)ただカフェ店の建物そのものについていえば、すでに廃屋となっており、森村桂氏の業績をしのぶ設備としても活用不能な状態でした」

 もちろんカフェの売却は法的に何ら問題はないわけだが、遺族やファンにとっては何とも物悲しい結果になってしまったのだ。

週刊新潮 2025年1月16日号掲載

ワイド特集「笑う門には福来たる」より

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