“柔術世界王者”芸人を巴投げで「角田夏実」に囁かれる最強伝説 女子48キロのレジェンド「ヤワラちゃん」の全盛時とどちらが強いか
金メダリストというゴールは同じでも…
頂点を極めた2人、果たしてどちらが強いか――いつの時代もファンにとって欠かせないテーマでもある。だが、柔道五輪金メダリストという、同じ“ゴール”にたどり着いた2人の歩んできた道は対照的だった。
福岡県出身の谷さんは、前述のように中学時代に脚光を浴び、柔道を始めた小学2年時からの恩師が柔道部監督を務める、福岡工大附属高校へ進学した。高校卒業後の進路が注目されたが、その恩師を監督に招聘し、女子柔道部を新設することになった帝京大学へ進む。
「谷さん入学の条件が、柔道部新設だと言われていました。すでに柔道界のスターだったので、関係者は進学先に気を揉んだのですが、先輩との人間関係など、余計なことを考えず柔道のみに集中できる新しい環境を整えたのです」(前出・専門誌記者)
卒業後はトヨタ自動車に就職。同社は柔道部がないにもかかわらず、所属先として受け入れたが、柔道の練習はそのまま帝京大で行っていたので、広告塔の役割を十分に果たした。
「他の選手から見たら羨ましがられるような競技に打ち込める環境を、谷さんは実力でつかみ取ってきました。ただ、当時は金メダル級のアスリートがテレビ番組などメディアに露出してトークするのを良しとしない風潮がありました。なので、角田さんのようにバラエティー番組に出たり、芸人と柔道対決をしたりするなどはご法度でした」(同)
谷さんは引退後、比例区で参院議員に当選し1期6年を務め上げた。パリ五輪中は情報番組などに呼ばれて、トークスキルを発揮していた。
一方、千葉県出身の角田は、接骨院を経営する父親の影響により谷さんと同じ小学2年で柔道を始めた。八千代高校時代にはインターハイの女子52キロ級で3位の成績を収め、柔道部強化を始めていた東京学芸大学へ進学。卒業後、五輪選手を続々と輩出していた地元・千葉の学校法人了徳寺学園の職員となり柔道を続けた。
「高校卒業後、ケーキ屋になるための専門学校に進むことも考えましたが、顧問に叱責されて大学へ。大学進学後、柔術やロシアの格闘技・サンボを習い寝技を強化しました。当初は52キロ級でしたが、ライバルだった阿部詩(24)さんの台頭やケガもあり、東京五輪には出場できませんでした」(同)
一度は引退を考えたが、心身両面で現在も角田を支え続けている今井優子コーチ(39)の説得で翻意。階級を48キロ級に下げると、21年から23年まで世界選手権を3連覇するなど快進撃を果たし、念願の五輪出場をかなえました。
「その間、所属先が不祥事により、美容大手のSBC湘南美容クリニックに買収された。所属先が変更になりましたが、縛りはきつくないのでメディア露出に制限はなし。角田さん自身、断ったのは水着の写真集ぐらいだったことを明かしています」(先のスポーツ紙記者)
角田は昨年1月にYouTubeチャンネルを開設。その飾らない人柄や、親しみやすいキャラで徐々に登録者数を増やし、五輪前には1万人台だったのが、金メダル獲得後に急増。昨年12月に10万人を突破し、年明けの時点で15.8万人(10日現在)に到達。インスタグラムのストーリーズではバキバキに腹筋が割れたビキニ水着姿を披露している。 五輪後は、テレビ番組やイベントに引っぱりだこで、大手コンビニチェーン・ローソンのCMにも出演していたが、谷さんに劣らず“トーク力”の才能も花開くことになる。
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