佐々木朗希に残る「早すぎるポスティング」の謎 “ドジャースで決まり”は本当か

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ロッテに5年間在籍し29勝、規定投球回クリアは1度もなし

 ロッテからポスティングシステムでメジャーリーグ移籍を目指している佐々木朗希投手の交渉が、大詰めを迎えようとしている。ドジャース、パドレス、ブルージェイズの3球団に絞られたとされるが、果たして最終的にどのチームのユニホームに袖を通すのか。そして、果たして世界最高峰のリーグで活躍することができるのか──。

 佐々木はロッテに5年間在籍し、通算29勝15敗。1年目は体力強化のため1、2軍を通して登板なしに終わり、NPBで正味9年プレーすることが必要とされる海外FA権取得にはほど遠かった。3年目の2022年4月10日・オリックス戦(ZOZOマリンスタジアム)では、20歳5か月の史上最年少で完全試合を達成し、この試合で日本新記録の13者連続奪三振、日本タイ記録の1試合19奪三振もマーク。破格のポテンシャルを証明したが、全体的には故障や疲労で出場選手登録を抹消されることも多く、規定投球回をクリアしたことは1度もなかった。チームをリーグ優勝に導いたこともない。

断られるはずだったロッテ入団

 そもそも、メジャーリーグの球団が25歳未満またはプロ6年目未満の海外選手を獲得する場合は、マイナー契約に限られ、契約金や年俸、所属していた球団への譲渡金も低く抑えられるルールがある。ロッテが佐々木の“早すぎる”ポスティングを認めたことには、球界関係者やファンの間にモヤモヤしたものが残った。その裏側には、佐々木のプロ入り当時の経緯があるようだ。

「佐々木は2019年のドラフト会議でロッテから1位指名され、岩手・大船渡高から入団しました。ロッテは日本ハム、楽天、西武を含む4球団競合の末、抽選で交渉権を引き当てたのですが、実は、佐々木側は事前に水面下で、入団は日本ハム、楽天を含む数球団に限るという意向を伝えていました。早期メジャー移籍ありきで、当時基本的に在籍選手のポスティングを認めていなかった巨人、ソフトバンクもNG。ロッテも“お断り球団”の1つでしたが、そういった事情をしっかり把握していないまま、指名してしまったそうです。当初、佐々木側の反発は激しく、入団を拒否して直接米国に渡る話も浮上したと聞いています」(NPB球団関係者)

 それでも最終的にロッテ入団へ漕ぎつけることができた理由として、このNPB関係者は次のようにみる。

「当時大船渡高の監督を務めていた國保陽平氏が筑波大出身。ロッテは動作解析の権威である筑波大・川村卓准教授(現教授)の育成プランを勉強し、基本的に従うことを条件に、入団への道が開かれたそうです。当時ロッテ1軍投手コーチの吉井理人氏(現監督)が2014年から2年間、筑波大の大学院でコーチングなどを学んでいた縁もありました。こうした入団の経緯もあり、ロッテは佐々木のポスティングを断ることができなかったのでしょう」

果たしてメジャーでの活躍は

 佐々木がメジャーリーグで通用するのかどうかについては、厳しい見方もある。

「最速165キロのストレート、140キロ台中盤で落差も大きいフォークは、いずれも一級品で、メジャーで通用するレベルでしょう。しかし、それを支える体力が覚束ない。日本でも休み休み投げていたくらいですから、中4~5日で回ることを求められるメジャーの先発ローテに入り長丁場のシーズンを通してやっていけるとは、到底思えません」(NPB球団で投手コーチ経験のあるOB)

 ただし、これには反論もある。

「最近のMLB球団の考え方は柔軟です。たとえば、従来5人で回していた先発ローテーションを6人に増やせば、登板間隔の問題はクリアできる。以前から佐々木に注目している球団は数多く、そういう球団にとっては、佐々木が5年間で大きな怪我をせずに済んだことが重要で、規定投球回に達しなかったことなどは、どこも気にしていないはずです。あくまで成長途上の選手であり、マイナー契約ですから。もしかすると日本で長くプレーするより、MLB球団の育成システムの方が佐々木に適合するかもしれません」(MLB球団スカウト)

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