もう最終回の結末が見えてしまった 「香取慎吾」フジ新ドラマ、隠せない“既視感”

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

“鉄板”の感動ドラマ

 若年層の人気を測るTVerのお気に入り登録数は37.5万と冴えない。同局系7月期の月9ドラマ『海のはじまり』が第2話で115万を突破したのと比べるとその差は歴然だ。フジ関係者もこう話す。

「職を失った主人公が区議会議員選挙に当選するためにシングルファーザーの義弟・小原正助(志尊淳)やその子どもたちと一緒に暮らす場面から物語は始まりました。家事と育児に奮闘する姿をSNSにアップして好感度を上げるのが主人公の本当の狙いで、そんな卑怯な企みが“最低”というわけです。

 志尊の役柄はシングルファーザーで、今後その役回りを香取演じる主人公が担っていきますが、昨年7月期のフジ系『海のはじまり』もシングルマザーとシングルファーザーが登場し、『不適切』の阿部もシングルファーザーという役どころでした。ひとり親に演技上手な子役が絡めばテレビ的には“鉄板”の感動ドラマができ上がるというわけです」

 確かに、ひとり親を描くことで多様化する父親像や母親像、ケア労働をめぐる家族の在り方と社会の理解不足を訴求する効果はあるだろうが、似たような設定がここまで続くと食傷気味ではある。

 それどころか、第1話を見ただけでもう最終回の結末が見えてしまったという声さえ出ている。

「第1話のラストで主人公は、甥っ子にお遊戯会のダンスを教えて成功させる熱い姿を見せました。タイトルにあるような最低な男ではないことが分かり安心しましたが、同時に“ニセモノ”の家族が互いに歩み寄り“ホンモノ”の家族になっていくこと、そして政治家を目指す動機が出世欲のためではなく日本の社会を変えるため、というように今後、主人公の心境がどんどん変化していくといった展開が予想できました。『不適切』のように過去と現代をタイムトラベルするような立体的構成でもなく、『海のはじまり』のように登場人物の心理の動きを繊細に描くような方向性も見えてきません」

 折しも「最低男」の話題性を上げるため、香取がかつて主演したフジ系連続ドラマ「西遊記」(2006年)が、1月6日から14日にかけて再放送された。潤沢な予算をつぎ込んで毎回視聴率20%超えを記録し、同年最高の話題作となった「西遊記」。フジテレビが当時の勢いを取り戻すのはもう無理なのだろうか――。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。