初の視聴率3冠王へ テレ朝が“大勝負”をかけた「プライベートバンカー」で唯一気になった“登場人物”

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命運を握るドラマ

 ゴールデン帯の連ドラは3つ。まず14日スタートの「家政夫のミタゾノ 第7シーズン」(火曜午後9時)。TOKIO松岡昌宏(48)が演じる女装家政夫の三田園薫が、派遣された家族の抱える問題を解決に導く。

 一昨年秋に放送された第6シーズンは個人視聴率5%強(世帯10%弱)。高視聴率の部類に入る。固定ファンがいるから、今回も同等程度の視聴率が見込めるだろう。シリーズものの視聴率は大きくは伸びないが、目も当てられないほど下がることもないのが特徴だ。

 次に「相棒season23」(水曜午後9時)。昨年10月に放送が始まり、今年3月まで放送される。最高世帯視聴率が20%を軽く超えていたseason7~11(2008~12年)のころのような強さはないが、それでも5~6%以上の個人視聴率(世帯10%以上)を記録している。連ドラではトップクラス。テレ朝にとっては心強い存在だ。

 結局、テレ朝のゴールデン帯の新番組は連ドラ1本。9日に始まった唐沢寿明(61)主演の「プライベートバンカー」(木曜午後9時)である。

 唐沢が演じるプライベートバンカーの庵野甲一は、富裕層の資産管理全般を担当する金融・経済のプロ。第1回で橋爪功(83)が演じる資産7000億の大富豪・天宮寺丈洋と契約を結び、その依頼によって町の団子屋を投資サギから救う。団子屋の女将は鈴木保奈美(58)が扮する飯田久美子である。久美子は庵野の知識に感動し、助手になることを志願する。

 第1回はよく出来ていた。まず金融・経済が登場する作品は難しくなりがちだが、久美子を陥れたポンジスキーム(出資者から投資を集めるが、その資金は運用されず、ほかの出資者への配当に充てられる)などの仕組みが平易に説明された。

 一方で天宮寺がスケール違いの大金持ちだったり、大文字のテロップが多用されたり、良い意味で漫画的になっていた。

 60代の唐沢、50代の鈴木、80代の橋爪のほか、天宮司の妻・美琴役で夏木マリ(72)も出ている。コア層(13~49歳)が観ないとCM売上高は伸びないのだが、テレ朝はそんなことは度外視し、まず個人視聴率なのだろう。

 気になったのは序盤で実業家の前澤友作氏(49)が登場したこと。自分のプライベートジェットの中で、庵野に向かって「尊敬する大先輩(天宮寺)がどうしても君を欲しがっていてね」と持ち掛けた。

 俳優の中に一般人が登場すると、確実に浮く。全体の空気感が戻るまでに時間がかかってしまう。第1回の序盤という大切な場面に一般人を使うべきだったのか。勿体ない気がしてならなかった。

 個人視聴率は5.3%(世帯9.0%)と上々。目下のところテレ朝の年度個人視聴率3冠王の視界は良好だ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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