韓国・尹大統領の“籠城作戦”を支援した「YouTuber親衛隊」の正体とは 「配信動機はカネ儲け」

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ユーチューバーを政府の要職に登用

 辺氏が続ける。

「尹氏は新聞やテレビよりもYouTubeを毎日のように見ていることで知られます。大統領就任式にお気に入りのユーチューバーら約30人を招き、批判を浴びたことも。尹氏がそれほどまでにYouTubeに傾倒するキッカケとなったのが3年前の大統領選挙でした。『共に民主党』代表の李在明(イジェミョン)氏に競り勝ったものの、両者の得票率の差は1%を切る大接戦だった。勝敗を分けたのは20代男性の動向で、YouTubeの影響で多くが尹氏に投票したと分析されたのです」

 その後、尹氏は自身を支援する保守系ユーチューバーを次々と政府の要職などに登用。これまでに次官級の国家公務員人材開発院長や雇用労働部長官、大統領府の国政企画秘書室・上級行政官などへの就任が報じられている。

配信動機は「カネ儲け」

 そんな彼らの素性は、意外にも多士済々だ。

「尹大統領がよく視聴しているチャンネルの一つに『イ・ボンギュTV』があります。配信者の李鳳奎(イボンギュ)は時事評論家で、昨年11月に番組で“大統領権限である戒厳令を発動して国を正常に戻すべきだ”と呼びかけた。また『ソン・チャンギョンTV』の成昌慶(ソンチャンギョン)は韓国の国営放送局KBSの元社員ですが、同じく“戒厳令を発動すべし”と尹氏をけしかけた一人です」(辺氏)

 他に「サラン第一教会」なるカルト宗教団体の指導者や元知事なども自身のYouTube番組で尹氏支持を打ち出しているという。

 そして中には日本での講演経験がある者も。彼らの通訳を務めるなど、複数のユーチューバーと面識のある、ジャーナリストの宋允復氏がこう明かす。

「韓国内で“極右ユーチューバー”と評される彼らですが、実際に話してみると、思想信条からというより、保守層が求める言説を供給することで、スーパーチャット(投げ銭)や登録者増など収益へとつながる経済的恩恵を動機にしている者が少なくありません」

 過激なユーチューバーが国政に影響を与える悪夢は、対岸の火事ではない。

週刊新潮 2025年1月16日号掲載

ワイド特集「笑う門には福来たる」より

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