ウクライナに早期停戦以外の選択肢はない…トランプ政権発足前に流布される「ロシア経済衰退論」に“継戦を望む勢力”の思惑

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ロシアの問題はインフレと労働力不足

 経済の足を引っ張っているのはインフレの高進だ。

 ロシア中央銀行は、昨年のインフレ率が目標の8.5%を上回ったとの見方を示している。今年のインフレ率は9.5%に達する可能性もあるという。

 主な要因は、軍事費の急増などが実質賃金の高騰を招いていることだ。ロシア政府が計上した今年の軍事費は前年比25%増の13兆5000億ルーブル(約19兆円)で、連邦予算に占める割合は前年に比べ3ポイント上昇の32.5%となる。

 労働力不足も頭の痛い問題だ。昨年12月の失業率は2.3%と、ソビエト連邦崩壊以降で最低だった。ロシア政府は鉄道建設や農業の分野で学生を組織的に動員する案を検討しているほどだ。

 インフレを抑制するため、中央銀行は昨年10月、政策金利を19%から21%に引き上げた。2003年以降で最も高い水準だ。

高金利と政府の統制にも不満の声

 通貨ルーブルの下落も気になるところだ。

 昨年11月に米国政府がロシア大手銀行に制裁を科したことが災いして、ルーブルの対ドルレートは侵攻直後以来の安値(1ドル=100ルーブル台)で推移している。戦時インフレをさらに加速させるとの懸念から、政策金利がさらに引き上げられる可能性は排除できなくなっている。

 だが、金利の上昇は企業の活動にとって大きなマイナスだ。戦時経済を支える企業からは「高金利で利益のほとんどが吹き飛んでしまう」との悲鳴が、政財界からは「中銀の独立性を制限せよ」との声が上がっている。

 ロシア財界の不満は他にもある。ロシア政府が経済分野での統制を強めていることだ。ウクライナ侵攻後に政府が差し押さえた企業の株式や不動産などの資産総額は1兆3000億ルーブル(約2兆円)を超えた。昨年1年間の総額は5500億ルーブルで、2022年の約2倍だ(1月10日付日本経済新聞)。

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