このままでは終われない…! 今年ケガからの“完全復活”が期待されるセ・パ4選手をピックアップ

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けがに苦しむヤクルトの若手野手

 セ・リーグの野手では、塩見泰隆(ヤクルト)に期待がかかる。プロ入り4年目の2021年には、センターのレギュラーに定着してベストナインを受賞。翌年もリーグトップの刺殺数をマークするなど、ゴールデングラブ賞に輝き、ヤクルトのリーグ連覇に大きく貢献した。

 2023年はコンディション不良もあって、わずか51試合の出場に終わると、昨季は5月11日の巨人戦での走塁で左膝を痛めて戦線を離脱。31試合に出場して、打率.267、3本塁打、27打点と不本意な成績に終わった。

 昨季中に二軍での実戦復帰が果たすことができず、今季も出遅れる可能性はありそうだが、昨年12月の契約更改の場では、順調な回復をアピールして、ファンを安心させた。ヤクルトの外野陣は、青木宣親と山崎晃大朗が昨季限りで引退し、レフトのサンタナ以外はかなり不透明な状況だ。塩見の回復具合がチーム成績に与える影響は大きい。

「トミー・ジョン手術から復帰する投手は、復帰2年目に良くなることが多い」

 一方、パ・リーグで、完全復活に期待したい投手が、椋木蓮(オリックス)である。2021年のドラフト1位で東北福祉大から入団。1年目にはプロ初先発初勝利をマークし、2試合目の先発となった日本ハム戦では9回ツーアウトまでノーヒットという快投を見せて連勝を飾った。その後、右肘を痛めてトミー・ジョン手術を受け、育成契約となった。3年目の昨季は、開幕前に支配下復帰を果たすと、主にリリーフとして起用されて9月には2年ぶりとなる一軍勝利を飾っている。

 10試合の登板で防御率5点台に終わったとはいえ、ストレートは150キロを超えるスピードをマークするなど、順調な回復ぶりを見せている。

「腕の振りはサイドに近くて、肘の位置は低いんですが、手首を立ててリリースするので、ボールの回転が良いですよね。それに加えて、ゆったりと楽に腕を振って速いボールを投げられる。バッター目線からすると、ボールが伸びあがってくるように見えますし、フォームと(打者の手元に来る)ボールに、ギャップがあって、打ちづらいタイプに見えます。2024年は、まだボールがばらついていましたけど、トミー・ジョン手術から復帰する投手は、復帰2年目に良くなることが多い。今季はもっと状態を上げてくると思います」(前出の編成担当者)

 今季は先発起用の可能性が高く、ルーキーイヤーに見せた投球を取り戻せば、前年5位からの巻き返しを狙うオリックスのキーマンとなりそうだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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