このままでは終われない…! 今年ケガからの“完全復活”が期待されるセ・パ4選手をピックアップ
プロ野球は、フリー・エージェント(FA)権を行使した選手の去就も全て決まり、今季の陣容が固まりつつあり、昨年の成績をもとに、戦力分析や順位予想が始まっている。それを左右するのは、故障で長期離脱していた選手が復帰できるかどうか。戦力の大きな上積みになるケースが多く、ファンにとって気になるところだ。近年では、才木浩人(阪神)が2020年11月にトミー・ジョン手術を受けて、約1年半実戦から遠ざかったものの、見事に復活を果たした。昨季は、チームトップの13勝をマークして、エース格となっている。今季は、才木に続くような“復帰組”が現れるだろうか。【西尾典文/野球ライター】
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【写真を見る】ギプス姿で「トミー・ジョン手術」を受けた報告をする阪神の「注目投手」
阪神で復活が待たれる投手
セ・リーグで最も注目したい投手が高橋遥人(阪神)だ。2017年のドラフト2位で入団した高橋は、2年目に早くも100イニング以上を投げるなど、順調なスタートを切った。しかし、2022年にトミー・ジョン手術、2023年には左尺骨と左肩の手術を受けて、一時、育成契約となる。
昨年4月にようやく実戦に復帰して、7月、支配下に戻った。8月11日の広島戦で先発のマウンドに上がると、5回、無失点の好投で、実に3年ぶりの一軍勝利をマークした。昨季は5試合に先発して、4勝1敗、防御率1.52を記録。復活を予感させる成績を残している。
11月には、2023年に受けた左尺骨の手術で埋め込んでいたプレートを除去する手術を受けたため、今季の開幕に間に合うのか、微妙な状況となっているが、本来の投球ができれば、阪神の先発陣に強力なピースが加わることになる。冒頭で触れた才木は、怪我から復帰後、4勝、8勝、13勝と年々成績を伸ばしている。高橋もそれに続きたい。
巨人にもトミー・ジョン手術を受けた投手が
一方、阪神のライバル、巨人にも注目したい選手がいる。プロ5年目の右腕、伊藤優輔だ。伊藤は、東京都内の有数進学校、都立小山台の出身。3年春には21世紀枠で甲子園に出場。中央大、三菱パワー(現・三菱重工East)を経て、2020年のドラフト4位で巨人に入団した。
プロ1年目の春先に肘を痛めると、その年のオフにトミー・ジョン手術を受けて、長期離脱を余儀なくされた。2年目からは育成契約となってしまう。4年目の昨季、ようやく二軍で結果を残して7月に支配下復帰を果たすと、8試合に登板して防御率1.04と結果を残した。
他球団の編成担当者は、伊藤についてこう話す。
「入団してすぐ怪我で離脱したので、ちゃんと投球を見られたのは、2024年からです。社会人からプロに入ってきた投手だけあって、ちゃんとピッチングができますね。具体的には、カットボールとフォークという使える変化球が2つあることが大きいです。カットボールには、かなり自信を持っているように見えました。ストレートの球速は、短いイニングであれば150キロくらいは出ますし、ランナーを背負ってもボールの力が落ちません。二軍でプレーするレベルのピッチャーではないと思います」
昨季の二軍成績を見ると、40試合に登板し、4勝0敗、14セーブ、防御率1.29と好投している。昨季MVPに輝いた菅野智之が、オリオールズに移籍した影響で、今季の伊藤は先発転向を目指すとも報じられている。大ブレイクが期待できそうだ。
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