「熱いお湯に入るのは間違い」「冬に飲むべき飲料は…」 冬の健康対策4選とは

ドクター新潮 ライフ

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熱いお湯に入るのは間違い

 このように、素晴らしい健康効果があるにもかかわらず、「正しい入浴法」は必ずしも広く知られていないような気がします。湯船に日常的に漬かる習慣を持つ日本は、世界に冠たる「お風呂大国」なのですから、より効果的に入浴し、その恩恵にあずからなければもったいない限りです。

 例えば冷え性の人は熱めのお風呂に入りがちですが、この入浴法は誤っています。42度以上の熱めのお風呂に入ると温熱作用が長続きしないからです。

 たしかに42度くらいの少し熱めのお風呂に入ると、体温が一時的に1~1.5度上がり、手足の冷えも解消されます。体温が36.5度だった人は、38度まで上がって体は温まる。ところが、これは人体にとっていわば異常事態です。従って、速く体温を下げて元の状態に戻ろうとし、発汗によって熱を放出しようとする。その結果、一気に体は冷えてしまいます。

 実際、40度のお風呂に入った場合と42度の場合の風呂を出てから30分後の体表温度をサーモグラフィーを使って調べたところ、40度のほうが体表温度が高く保たれていたという実証実験があります。従って私は、冷え性の人には40度のお風呂に漬かることを勧めています。よほど体が冷えているのでなければ時間は10分程度で十分でしょう。

 スキンケアの観点からも、42度以上の湯船に入っていると、かゆみの原因物質であるヒスタミンが体内で生成されるというデメリットがあります。また、肌は熱変性するタンパク質で作られているため、熱いお湯に漬かると肌荒れにつながります。

血圧を正常値に戻してくれた「野菜スープ」

〈続いては、循環器を専門とする内科医として、傘寿を超えた現在も内科総合病院で診療にあたっている「医療界の現役スーパーウーマン」である天野惠子氏の知見を紹介する。

 天野氏が2024年春に出版した『81歳、現役女医の転ばぬ先の知恵』は、彼女の生き方に学びたいと、多くの読者を獲得し、天野氏は大手メディアでも取り上げられるなど脚光を浴びた。

 そんな彼女が実践している健康法の一つが、凍てつく冬にうってつけの「あったか料理」、野菜スープである。〉

 私は48歳から59歳にかけて激烈な更年期障害に見舞われましたが、一転、60代は体調が一気に好転し、まさに絶好調でした。

 ところが、後期高齢者の仲間入りを果たす70代半ばになると血圧が少し高めになるなど、さすがに年相応の衰えが出てきました。それまでに実践していた筋トレと温活以外にも何か手を打たないと、いつまで現役で医師を続けていられるか分からない。体質を改善しなければ……。そこで私が取り入れたのが野菜スープでした。

 参考にしたのは、抗がん剤研究の世界的権威で、ノーベル賞候補と目された熊本大学の前田浩名誉教授の本です。がんには活性酸素が密接に関わっています。そして野菜に含まれるファイトケミカルには抗酸化作用があるのですが、生よりスープにしたほうが抗酸化の効果は高まることが認められたと、前田先生の本には書かれていました。

「これだ!」と思った私は、その日から毎日、自炊の野菜スープを取るようにしました。効果は確実に表れて、しばらくすると血圧が見事に正常値に戻るなどしたのです。

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