「熱いお湯に入るのは間違い」「冬に飲むべき飲料は…」 冬の健康対策4選とは
寒風吹きすさび、身も心も縮こまりがちな冬本番に、いかに暖をとって健康を保つか。住宅の低温の改善法からあったか料理まで、これまで本誌(「週刊新潮」)で紹介してきた情報の中から、この時期にこそ読んでおくべきものを厳選。冬の健康対策の「永久保存版」をお届けする。
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〈まずは、私たちの健康をむしばむ「冬の恐ろしさ」について、日本の住宅の寒さがもたらす悪影響に警鐘を鳴らしてきた、近畿大学建築学部建築学科の岩前篤教授(建築環境工学)が解説する。〉
「家のつくりようは、夏を旨とすべし」
兼好法師が「徒然草」に記した有名な一文は、当時は妥当性を持っていたのでしょう。しかし、現代においてはこう言い換えるべきです。
「家のつくりようは、冬を旨とすべし」
これは、冬が最も命の危険にさらされる季節であるという「現代の事実」に基づいた提言です。
国内で最も古いと思われる1910年のデータを見ると、たしかに8月、つまり夏に最も多くの人が亡くなっています。
ところが、1930年くらいから夏と冬の逆転が起こり始め、70年代には夏が最も少なく、冬に最も多くなる状況に変化しているのです。日本に限らずアメリカでも、日本より20年ほど先取りして逆転現象が生じていたという報告もあります。これ以降50年以上に亘って日本では「冬>夏」で、12月から2月ごろに亡くなる人が最も多い傾向が続いています。
低温の環境を避ければ健康阻害リスクを減らせる
「冬」と「死」の因果関係、そのメカニズムについてはまだはっきりしないところもありますが、低温によって体力が奪われ、免疫機能が正常に働かなくなることでさまざまな健康被害がもたらされるのだと推察されます。いずれにしても、現に起きている現象から考えると、低温の環境を避ければ健康阻害リスクを減らせるのは間違いないといえるでしょう。
実際、2015年に海外の医学系学術誌で発表された調査結果では、日本人の死亡者の約10%、すなわちおよそ12万人が「低温」の影響で亡くなったと記されています。
一方、夏の「高温」による死亡者が占める割合は0.3%に過ぎません。低温と高温を比べると、実に約30倍も低温の死亡リスクは高いのです。近年、熱中症のリスクが注目されていますが、熱中症で病院に運ばれた人の9割以上はその日のうちに帰宅しています。こと「命」に関していうと、やはり夏の暑さより冬の寒さが圧倒的に危険といえるのです。
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