「1人殺しても2人殺しても同じ…」女子高生コンクリ詰め殺人「準主犯格少年」が「逮捕監禁」で再逮捕 被害者が明かしていた「地獄の5時間」

国内 社会

  • ブックマーク

1人殺そうが2人殺そうが同じ

 被害者は当時、さらなる恐怖の体験を証言している。

「そのうち、金属バットを持ち出してきて、“トランクに入れ”って命令されて、さらわれるのも怖かったけど、もう言うことを聞くしかなくて……。で、30~40分走って、埼玉県内のスナックの前で車から降ろされたんです。彼がスナックの扉の鍵を開けて、中に入れられ、内側から鍵をしめられてしまった」

 生きた心地のしない被害者に対して、Bは、

「おまえ、細面の170センチくらいの女だよ、知ってるだろ」

 と、殴り続けた。心当たりがなく、訳がわからぬまま被害者は、

「すいません」

 と、平謝りするしかなかったのだそうだ。

 被害者はBのこんな言葉も聞いている。

「綾瀬の事件のことを持ち出して、“1人殺そうが2人殺そうが同じなんだよ。俺はな、調べられた経験があるから、警察とか検事にどう喋ったら罪が軽くなるか知っているんだ。検事をごまかすくらい簡単なんだよ”と言っていました。“どうやれば精神鑑定になるかだってわかる”というようなことも嘯いていたのです」

 結局、スナックから解放されたのは夜が明けた午前7時。それも嫌疑が晴れからではなく、Bが、殴り疲れたのがその理由だったのである。

 狂気とすら思える暴力を振るったBの暮らし振りはどんなものだったのか。当時の近所の住人の証言によれば、髪は真っ黄色。母と2人で一軒家の2階に住み、1階で焼肉屋を経営していたが、母がもう一軒やっていたスナックが忙しくなり、焼肉屋は閉店した。そのスナックが監禁の舞台となった場所である。別の住民の証言によれば、正式な組員ではなかったが、Bは暴力団の事務所にも出入りをし、浅草の三社祭りにはよく参加していたという。

 ***

 この事件でBは懲役4年の実刑判決を受けた。前出のHBCの報道によれば、2009年に再度出所した後は仕事もせず、生活保護に頼り、部屋に引き籠る毎日。そして2022年7月、母が弁当を持って部屋を訪れると、トイレの中で倒れた状態で発見された。精神安定剤を飲み、ふらついてトイレの中で倒れ、便器とタンクの間に頭が挟まり動けなくなり、嘔吐して息を引き取ったという。

 コンクリ詰め事件の公判の際、Bは「被害者の女性がどれだけ熱かったか、どれだけ痛かったか。一生謝っても謝り切れない。僕の一生をかけても償っていきたい」と述べたが、その言葉とは程遠い一生を送ったことがわかる。

 コンクリ詰め事件の実行犯4名に関しては、主犯格だった元少年は2013年に振り込め詐欺で、自宅が監禁場所だった元少年も2018年に殺人未遂容疑で逮捕されたことが報じられている。また、HBCによれば、監視役だった元少年も、病気で2021年、息を引き取ったという。

 コンクリ詰め事件の逮捕時、4名の少年は少年法の「推知報道」禁止の規定により、氏名や容貌などが世に出ることはなかった。少年の更生を図る目的だったが、その後の4名の人生はその敗北を証明したようなものである。

 事件から35年経つこの1月に明らかになったBの人生は、少年法のあり方について、大きな問いを投げかけている。

前編】では、コンクリ詰め事件の際のBの“所業”について詳報している。
関連記事】「いまもネットを戦慄させる「女子高生コンクリ詰め殺人」悪夢の一部始終 元「少年」が殺人未遂容疑で逮捕されるまで【昭和・平成の凶悪事件簿】」では、自宅が監禁場所だった元「少年」の再犯事件について詳報している。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。