普段より“量が多い”だけじゃない…ごみ収集員が「お正月明けのごみは危険」と口を揃える納得の理由

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ごみ収集車の巻き込み事故が多い理由

 こうして1日中繰り返される「停車と発進」は、ごみ収集員にとっては最も恐ろしい事故の原因になったりする。

 それが、「自車による巻き込まれ事故」だ。

 産業廃棄物を収集するごみ収集員のなかには、運転から回収までをワンマンでおこなう人も少なくない。1日に何度もクルマを停車させて作業するとなると、必然と「サイドブレーキ」を引く回数も多くなる。そうするとサイドブレーキの利きが悪くなってしまう場合があるのだ。

「ごみの収集時、作業員が立つ場所は当然クルマの“真後ろ”。利きが悪くなったサイドブレーキが原因で、後ろに下がってきた自車に轢かれたり、壁に挟まれたりして亡くなる方は少なくありません」

 中にはその勢いで収集員がごみ投入口に入ってしまい亡くなるケースも。パッカー車のごみ投入口には、ごみを車内に取り込むための「回転板」や「プレス板」がある。その回転板は冷蔵庫ですら簡単に砕き潰すほどのパワーだ。人間が巻き込まれれば自力で脱出することはほぼ不可能だ。

 よく、ごみ収集員の作業中の事故がニュースになることがある。事故の裏には、こうしたパッカー車ゆえの原因があるのだ。

未分別のごみとの戦い

 元々、過酷な環境下であるごみ収集の現場だが、その過酷度は、ごみを出す側のモラルはもちろん、小さな配慮にも大きく左右される。

 特に年末年始に出されるごみは、分別が甘くなる傾向があり現場に大きな影響が出るという。

「実家に親戚が集まる正月は、その自治体の収集ルールを知らない人が増えるうえ、捨てる量も増えて面倒になるのか、分別されてない袋は爆増します」

 なかでも深刻なのが危険物の混入だ。とりわけ冬の時期は家族や友人などで鍋を楽しむ機会が増える。そうすると一般ごみにガスボンベが入っていることも少なくないという。

 こうした危険物の混入は、車内や施設で爆発・火災に繋がるケースもある。

 実際、新年早々の1月3日、埼玉県のごみ処理場内にある収集ごみの一時的保管場所から火災が発生。現場の作業員たちは6日未明まで対応に追われたが間に合わず、翌日にはごみの受け入れ量が満量。これにより次回のごみ収集が一時停止する事態になった。

 具体的に原因となった混入物が何だったのかは分かっていないが、年末に収集したごみのなかに発火の原因となった物が入っていたとみられている。

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