普段より“量が多い”だけじゃない…ごみ収集員が「お正月明けのごみは危険」と口を揃える納得の理由

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収集員の苦労

 ごみ収集作業員たちは朝早く出勤すると、決められたルートに点在する各集積所を回り、ごみの回収・運搬を行う。パッカー車(ごみ収集車)が満杯になるとごみ処理場へ赴き、集めたごみを排出。その後、再び現場に戻って収集作業を再開する。

 地域にもよるが、一般的な家庭ごみを収集するパッカー車が1日に回る集積所は150-200か所ほど。1度に集められるごみ袋の数は約1000袋。1日平均4-6往復ほどしながら収集していく。

 ある地域の収集員は、この収集ルートがつくれることが一人前の証だという。

「ルートは、一方通行や集積所の正確な位置、集積所のごみ量の増減(週の前半と後半、近隣の世帯数や世帯内容による違い)などを考慮して班長がつくっています。究極は『同じ道は通らないコース』の設定。収集済みの道を何度も通れば走行距離が延び、収集時間のロスや排ガス等による環境負荷に繋がりますから」

 収集時間は既述通り主に朝だ。通勤通学時間と重なることもあるため、道中は常に時間との戦いになり、なにより気を使い続ける。

「集積所で収集にかかる時間はごみの多い場合でも1~2分程度ですが、後続車から『どけバカヤロー!』とか『早くしろ よ!忙しいんだよ!』との罵声が飛んできます」

「ゆっくり積み込みしていたら、パッカー車の後ろに渋滞が起きるんです。中にはあおり運転のように、作業員にぴったりクルマを寄せてくる後続車もいます」

「少しでも早く回収作業をするために、10本の指にかけられるだけごみ袋を引っ掛けます」

 この“少しでも早く収集するため”は最も重要で、都内や住宅街などの集積所では、収集員はいちいちクルマを乗り降りしない。

「乗ったり降りたりしてまでクルマ移動するよりも、走った方が断然早い。1日7-8kmくらいは走っているんじゃないですかね。靴はすぐに履き潰します」

「時にはパッカー車より先回りして、ごみを収集しやすいようスタンバイしたりもしますね」

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