普段より“量が多い”だけじゃない…ごみ収集員が「お正月明けのごみは危険」と口を揃える納得の理由
「動脈」のトラック「静脈」のごみ収集車
「物流」と聞くと、自分たちの生活に必要な商品や荷物がトラックで運ばれるシーンをイメージする人が多いかもしれない。
【写真】これからの時期は要注意! ビーズクッションをきちんと捨てないと
実際トラックは「国の血液」とよばれることがある。
身体(=国)の隅々に張り巡らされた血管(=道路)を伝い、栄養(=荷物)を運んでいる血液(=トラック)は、日本の経済の動脈を担っているのだ。
しかし、この物流には「動脈」だけでなく「静脈」を支える人たちがいることを忘れてはならない。
それが「ごみ収集員」だ。
私たちの生活に身近な存在であり、はたらく姿はすっかりおなじみだ。今回は知られざる彼らの仕事の実情を、生の声で紹介したい。
商品は消費される際、必ず「ごみ」が出る。収集員たちは、その老廃物(=廃棄物)を処分・再資源化すべく、腎臓などの臓器(=処理場)まで運ぶ役割を担っているのだ。中でも、最もごみ収集員たちが慌ただしくなるのが、11月から年明けにかけてだ。
近年、海外からやってきた“ブラックフライデー”による年末セール、お歳暮、クリスマスケーキやプレゼント、正月で消費されるおせちなどの生産が始まると、まずはそれらを生産・製造する工場などから出される「産業廃棄物」を回収する作業員たちが忙しくなる。
「食品製造工場からは、11月ごろからお歳暮の商品やおせちなどに使われる食材が入っていた段ボールが大量に出されるので、ひと足早く『年の瀬』を感じます」
一方、一般家庭から出たごみを収集する「一般廃棄物」の作業員たちは、各イベントの翌日以降、一気に出される大量のごみに対峙する。
「ツリーの飾り付けやプレゼントの包装紙などが捨てられていると、みんなでクリスマス楽しんだんだろうなとほっこりすると同時に、『ああ、いよいよこの季節がやってきたのか』という思いになる」
なかでも正月明けのごみの量はすさまじいという。
「正月の後は地獄が待っている…あけましておめでとうとは言うが、“めでたい”ワケがない」
また、正月明けは有休を年度末までに消化しようとする作業員たちが多くなる時期でもあるため人手が足りなくなり、ごみの取り残し率が上がるなど、混乱が尾を引くこともあるのだそうだ。
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