小倉久寛、三宅裕司を語る 「自分は舞台に向いていない」とこぼした時の“大先輩”の答えとは

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「それは嫌です」と拗ねることも

――三宅さんとの関係は特別なものですか。

 はい、とても特別です。私は劇団に入った時、演劇の経験もなく、右も左も分からない状態でした。その中で、主演を務めていた三宅さんの面白くてかっこいい姿を見て、衝撃を受けたんです。冗談を言い合える大先輩と大後輩という形で、その関係性は50年近く経っても変わりません。

――今回の舞台に向けて、どのような思いがありますか。

 三宅さんと2人でお芝居やコントを2時間通して行えるというのは本当に特別なことです。それが単なるシーンではなく、作品として成立することがとても嬉しいです。

――三宅さんと喧嘩することはあるのでしょうか。

 喧嘩はないですね。そもそも喧嘩できないんですよ。三宅さんの言うことを聞いているだけですから。ただ、時々「それは嫌です」と拗ねることはあります。でも最終的には言いくるめられてしまいますし、三宅さんの言うことは基本的に正しいです。

――思い出に残っているエピソードはありますか。

 劇団に入ったばかりの頃、舞台の袖で待っている時、緊張して「(自分は舞台に)向いてないよ」と口に出してしまったことがありました。その時、三宅さんが「今は言うな。後で何でも聞いてやるから」と抱きしめてくれたんです。それがすごく印象に残っています。

――運命的な出会いだったんですね。

 自分で自分を褒めることはあまりないんですが、唯一誇れることがあるとすれば、「三宅さんを見つけたこと」だと思っています。10年前くらいに一度、そのことを三宅さんに伝えたら、「何、言ってんだよ。俺がお前を見つけたんだよ」と返されました。その言葉を聞いたとき、泣いてしまいましたね。

 ***

 後編では、小倉が元宝塚の妻について語っている。

■小倉久寛
1954年、三重県出身。1979年、三宅裕司主宰の「スーパー・エキセントリック・シアター」の旗揚げに参加。舞台、映画、テレビなどで活躍する。2025年2月21日から東京・紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAで、生誕70年 を記念したコントライブ「ザ・タイトルマッチ3」を行う。

デイリー新潮編集部

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