小倉久寛、三宅裕司を語る 「自分は舞台に向いていない」とこぼした時の“大先輩”の答えとは
「それは嫌です」と拗ねることも
――三宅さんとの関係は特別なものですか。
はい、とても特別です。私は劇団に入った時、演劇の経験もなく、右も左も分からない状態でした。その中で、主演を務めていた三宅さんの面白くてかっこいい姿を見て、衝撃を受けたんです。冗談を言い合える大先輩と大後輩という形で、その関係性は50年近く経っても変わりません。
――今回の舞台に向けて、どのような思いがありますか。
三宅さんと2人でお芝居やコントを2時間通して行えるというのは本当に特別なことです。それが単なるシーンではなく、作品として成立することがとても嬉しいです。
――三宅さんと喧嘩することはあるのでしょうか。
喧嘩はないですね。そもそも喧嘩できないんですよ。三宅さんの言うことを聞いているだけですから。ただ、時々「それは嫌です」と拗ねることはあります。でも最終的には言いくるめられてしまいますし、三宅さんの言うことは基本的に正しいです。
――思い出に残っているエピソードはありますか。
劇団に入ったばかりの頃、舞台の袖で待っている時、緊張して「(自分は舞台に)向いてないよ」と口に出してしまったことがありました。その時、三宅さんが「今は言うな。後で何でも聞いてやるから」と抱きしめてくれたんです。それがすごく印象に残っています。
――運命的な出会いだったんですね。
自分で自分を褒めることはあまりないんですが、唯一誇れることがあるとすれば、「三宅さんを見つけたこと」だと思っています。10年前くらいに一度、そのことを三宅さんに伝えたら、「何、言ってんだよ。俺がお前を見つけたんだよ」と返されました。その言葉を聞いたとき、泣いてしまいましたね。
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後編では、小倉が元宝塚の妻について語っている。