前人未到の「18冠」に輝いた「大谷翔平」は2025年も活躍できるか…シーズンを占う…初の両リーグMVP受賞者が「41歳まで現役生活」を送れた理由

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幸せの絶頂期だが…

 2024年の大みそかの午後、ドジャース・大谷翔平(30)が「年間最優秀男性アスリート賞」に選ばれたとの一報が飛び込んできた。同賞は1886年に創刊された老舗スポーツ誌「スポーティングニュース」(現在はウェブのみ)が、年間でもっとも高い功績を残したスポーツ選手に贈呈するもの。大谷自身は21年のエンゼルス時代にも受賞しているが、他のメジャーリーガーの受賞となると、10年のロイ・ハラディ(享年40・元フィリーズ)まで遡らなければならない。

「ナ・リーグが誕生してから、2万人以上のメジャーリーガーがプレーしたが、野球界で彼の地位を越えた人は誰もいない」

 と、選出理由で大絶賛された大谷はナ・リーグMVP、本塁打王、打点王、月間MVP、ハンク・アーロン賞(リーグ最優秀打者賞)、正力松太郎賞特別賞などを受賞し、計“18冠”となった。私生活では元専属通訳の横領という“お騒がせ”もあったが、最後は真美子夫人の第一子妊娠と、ハッピーなニュースで24年を締め括っている。

 まさに「幸せの絶頂期」だが、米全国紙「USA TODAY」の単独インタビューでは、今後の野球人生への複雑な思いも吐露している。

「野球選手としてのピークを(これから)迎える。または、今がその中にあると思っている。どれだけ維持できるか、向上していけるか。パフォーマンスが低下してくる先というのも、ちゃんと見据えながら取り組まないといけない」

 大谷自身が、加齢からくる不安を口にしたのは初めてではないだろうか。アスリートであれば誰もが意識する問題でもある。同時に、それに抗うトレーニングや、年齢に応じた練習メニューを取り入れながら、新たなシーズンを乗り越えていくことになる。

 そんな大谷にとって大きな指針となりそうな人物がいる。

史上初の両リーグMVP

 3度目となる大谷のMVP受賞が決まった際、米国ではこう報じられた。

「ア・リーグ、ナ・リーグの両方でMVPに選ばれたのはメジャーリーグ史上2人目」

 大谷にとって大きな指針となりそうな人物とは、両リーグでMVPを受賞した初めての選手、フランク・ロビンソン(享年83)だ。

 レッズでキャリアをスタートさせ、卓越した打撃センスでチームを牽引してきたが、転機が訪れたのは65年オフ。当時のレッズオーナーが「Not a young 30(30歳のロートルが)!」と酷評し、トレードで放出してしまったのである。

 この年の成績は33本塁打、113打点だった。前年「67」だった三振数が「100」に到達し、27歳だった62年に39本塁打を放って以来、バットマンとしての成績は下降傾向にあったのも事実だった。

 しかしロビンソンは放出先のオリオールズで蘇り、三冠王に輝いている。「レッズオーナーを見返してやる」という気持ちもあったはずだが、トレーニング内容や練習量の見直しが功を奏したという。後にア・リーグMVPにも選出され、メジャー史上初の両リーグ受賞者ともなるのだが、その偉業とともに伝えられていたのが「アフリカ系米国人では初」という紹介。こじつけかもしれないが、大谷もさまざまなタイトルを獲得する度に「日本人選手では初」と報じられてきている。

「ロビンソンはその後、ドジャース、エンゼルス、インディアンズ(現ガーディアンズ)と渡り歩き、76年までプレーしました。インディアンズに移籍した75年には、移籍して3週間後に『兼任監督』にも選ばれました。レッズ時代から人気者だったので移籍する度にその球団の注目度も高まっていました」(地元メディア関係者)

「常に野球報道の中心にいる」という点も大谷と同じだ。ロビンソンが41歳まで現役を続けられたのは特別な練習法があったからではなく、野球に対し、常に真剣に向き合ってきたからだという。

「25年は大谷にとって、現役生活の分岐点になるかもしれません。ファンは二刀流の復活を期待していますが、投手も務めながら『50-50(50以上の本塁打、盗塁)』を達成するのは、体力的に見て難しいでしょう」(米国人ライター)

 その盗塁について、悲観的な見方も囁かれている。ワールドシリーズ第2戦で盗塁を試みた際、左肩を脱臼して関節唇断絶の怪我を負った。その後、修復手術を受けて回復に向かっていることは既報通りだが、「盗塁による怪我のリスクをドジャースが懸念している」との報道も現地にはあり、意図的に盗塁数を減らすのではないかとの見方も強まっている。しかし、投手復帰に関しては日本で報道されている以上に順調のようだ。

「大谷は12月の時点でキャッチボールとブルペン投球を開始しています」(前出・同)

 この情報はウインターミーティング中の12月9日(現地時間)、ドジャースのゼネラルマネージャーであるブランドン・ゴームズ氏が明かしたもの。ゴームズGMは大谷の開幕ローテ-ション入りこそ否定したが、投球練習の開始には、深い意味がある。

 通常、メジャーリーグの先発投手は12月からピッチング練習を始める。開幕ロースターの当落ラインにいる投手も早めに肩を作るが、大谷にはすでに投手としての実績もあるので慌てる必要もない。2度目のトミー・ジョン手術によるリハビリ過程にあるのであれば、投球練習の再開時期を遅らせることもできたはずだ。他のメジャーリーグの先発投手と同じオフの練習をしているということは、ペナントレースの開幕にも間に合うところまで回復していると見るべきだろう。

「怪我をさせたくないので、バッテリー陣のキャンプイン後、意図的に調整のスピードを落とすと予想されています。3度目のトミー・ジョン手術があったら、年齢的にも二刀流は続けられないでしょう。怪我をさせたくないという球団の親心が、開幕ローテーション入りについて否定するコメントになったのだと思われます。ドジャースは二刀流の希少価値を認めていますが、『打者・大谷』を怪我で欠くことをいちばん恐れています」(前出・同)

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