「佐々木朗希」交渉大詰めも「メジャーが確約されたわけじゃない」 有名球団「40人枠」はすでに“空きナシ”状態という高いカベ

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40人枠はいっぱいに

 2024年末に佐々木朗希(23)の代理人であるジョエル・ウルフ氏(54)が開いたオンライン会見によれば、メジャーリーグ球団との契約は「1月15日以降になる」という。25歳未満、海外プロリーグ在籍6年以下の選手にはマイナー契約しか結べない「25歳ルール」がある。また、その契約金も毎年MLB各球団に割り当てられる「インターナショナル・ボーナス・プール」からしか出せず、約700万ドルという上限も設けられている。それが25年分にリセットされるのが、1月15日なのである。

 こうした限られた条件内での交渉に対し、佐々木とウルフ氏は「お金の問題ではない」と訴えてきたが、マイナー契約扱いになるのは年俸だけではなさそうだ。

 ドジャースがテオスカー・ヘルナンデス(32)と契約合意――そんな一報が飛び込んできたのは、12月27日(現地時間)だった。今季、4番も務めた強打の外野手の残留に安堵したドジャースファンも多かったが、この残留が佐々木サイドとの2度目の直接交渉にも影響してきそうなのだ。

「ヘルナンデスと契約したことで、ドジャースの40人枠が埋まりました。24年オフ、ドジャースはブレイク・トライネン(36)投手を残留させ、ジャイアンツから投手のブレイク・スネル(32)と外野手のマイケル・コンフォート(31)を獲得し、捕手のオースティン・バーンズ(35)、内野手のミゲル・ロハス(35)とも延長契約を結びました。大谷翔平(30)を獲得した一昨年オフのようなビッグニュースにはなっていませんが、及第点の補強ができたというのが米メディアの一致した意見です。でも、クローザー候補を獲るプランが手付かずのまま。大型トレードも予想されています」(米国人ライター)

 チームの補強はまだ続くようだが、早々に「40人枠を埋めてしまった」わけだ。40人枠とは、メジャーリーグ各球団が支配下に置ける“メジャーリーガーの定員数”のことで、その40人のなかから公式戦に出場できる26人を選んでいる。負傷者が出た場合、各球団はその選手を60日間のILリスト(負傷者リスト)に入れ、その間、傘下のマイナー選手を繰り上げてメジャー契約を結ぶか、トレードで代役選手を補充している。

「昨季、メッツに在籍していた藤浪晋太郎(30)のようなケースもあります。肩の負傷でIL入りしていましたが、マイナーでの試合には出場していました。メッツ球団が『41人目の選手』を設けるため、ずっとILに入れておいたんです」(前出・同)

 40人枠に入れたメジャー契約選手は途中解雇することもできる。「41人目の選手」を生み出すルール上の盲点でもあるようだが、40人枠を埋めてしまったのはドジャースだけではない。今後、佐々木サイドが2回目の面談を行うと報じられているドジャース以外のパドレス、レンジャーズ、ヤンキース、メッツも「空きナシ」状態なのだ。

「ほとんどの球団が40人枠を埋めてしまいました。佐々木がその球団と契約した場合、今シーズン中にメジャーリーグの公式戦に出場するには、スプリングキャンプ、オープン戦で結果を出し、先に40人枠のメジャー契約を交わした選手を蹴落とさなければなりません」(前出・同)

「会社説明会のようだった」

 一方、昨年12月中に行われた佐々木サイドとの交渉について、こんな情報も聞かれた。「まるでCompany Orientation(会社説明会)のようだった」と。これは、ア・リーグ中地区球団のスタッフがこぼした言葉だ。

 この球団は米メディアの「直接面談が叶った球団」ではなかったようだが、佐々木がポスティングシステムに掛けられることを知り、育成ビジョンとその実績、球団の市場規模、本拠地の立地条件、住環境、チームの成績など、代理人事務所が求める資料を早急に作って郵送しているという。「オオタニ(大谷翔平)が25歳ルールで渡米してきた17年はここまで詳細な資料を要求されなかった」とも話していたが、球団同士の横のつながりなどで得た情報によると、「面談はすでに実績を持つ選手ではなく、ドラフト指名した学生選手と交渉しているようだった」そうだ。

 また、1月6日に公開された「Dodgers Nation」によれば、直接面談の叶ったドジャースは2回目の面談までに「宿題」を出されたという。

「(佐々木側の球団選びの)判断基準は、選手育成、市場規模、チームの成功など。どの項目かは不明だが、代理人から詳細な質問があり、次回までに答えなければならない。ドジャースがどれだけの量の質問に答えなければならないのかは分からないが」

 同サイトは詳細な質問を“獲得のチャンス”とも捉えていた。しかし、「宿題」について悲観的な見方もされているようだ。

「ウルフ氏は昨年オフ、山本由伸(26)の代理人としてドジャースのブランドン・ゴームズGM(40)や経営幹部と会っています。山本のドジャース入りは即答に近かったとも聞いていますので、ドジャースには悪い印象は持っていないはずです。『Dodgers Nation』の報じた宿題とは、詳細な追加説明ではなく、佐々木側から別のリクエストがされたのかもしれません。専属通訳だけではなく、個人トレーナーや専属広報、家族のサポート役などを求めたのかもしれません」(現地記者)

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