「町田は、僕にとって〈東京〉ではない」 『イッツ・ダ・ボム』が話題の作家・井上先斗が語る、今も〈東京〉に特別な思いを抱く理由
〈東京〉の中に住むのは何かが違う
町田では代替できなかった移動時間こそが実は重要なのだろう。あの数十分が、僕の中で〈東京〉とそうでない場所を隔てている。そこまで離れてない。けれど、僕の体のそばではない。
そして、この距離感が、一番落ち着くのだ。僕は、就職のタイミングで相模原から引っ越している。職場を考えると23区内の方がよかったのだけれど、どうしてか、家探しをする時、神奈川県内あるいは町田市内を前提としていた。〈東京〉の中に住むのは何かが違うと考えてしまう気持ちが存在した。
そうしたわけで僕は今日も〈東京〉の外で暮らし、仕事や遊びのために〈東京〉へ出かけている。さすがに最近は縮まりつつもあるけれど、依然、僕と〈東京〉に距離はある。
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