「町田は、僕にとって〈東京〉ではない」 『イッツ・ダ・ボム』が話題の作家・井上先斗が語る、今も〈東京〉に特別な思いを抱く理由
町田ではない別の場所として〈東京〉は存在するという肌感覚
2024年、『イッツ・ダ・ボム』で第31回松本清張賞を受賞しデビューした作家の井上先斗さん。東京の町田にほど近い地域で育ちながら、「こことは別の場所として〈東京〉は存在する」という肌感覚があったそう。では〈東京〉とそうでない場所を隔てていたものって?
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町田は、僕にとって〈東京〉ではなかった。
23区の外は東京ではない、町田は神奈川で八王子は山梨だ――といった、もはや陳腐になってしまった地域ネタを語りたいわけではない。...